September 21, 2018 / 8:28 AM / 25 days ago

ブログ:巨大氷河が突然崩壊、グリーンランドの息をのむ光景

[タシーラク(グリーンランド) 19日 ロイター] - グリーンランドの氷河、ヘルハイム・グレイシャーの崖の上から、私は衛星電話を使ってニューヨークにいる妻に連絡しようと試みた。メッセージを残そうとしたら、破裂音が聞こえた。北極の静寂が破られた。

 9月19日、グリーンランドのヘルハイム氷河を調査する研究チームにロイター取材陣が同行、「カービング(氷山の分離)」と呼ばれる、大規模な分離現象を目撃することができた。写真は漂流する氷山。タシーラク近郊で6月撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

その後、さらに破裂音が続いた。

関連記事:グリーンランドの巨大氷河崩壊、温暖化の謎に迫れるか

氷河を見渡せるよう設置していたビデオカメラのある場所まで、私はぬかるんだツンドラを走った。カメラを守るためにかぶせていたごみ袋をはぎ取り、これまでにない速さで焦点を合わせた。

はじけるような音が、低いごう音に変わった。それから30分あまり、氷河は崩れ落ち、幅6キロほどの氷塊が海へと転げ落ちていった。これは「カービング(氷山の分離)」と呼ばれる現象で、これほど大規模な分離を目撃できるのは珍しい。

ロイターのカメラマンとして、私はこれまで、噴火する火山、ハリケーンやトルネードに見舞われた被災地、そして戦地を撮影してきた。だが、自分が非常にちっぽけな存在だと感じたことはなかった。グリーンランドでの1カ月に及ぶ気候変動調査プロジェクトは、感動的な終わりを迎えた。

今回の取材では、調査を行う研究者に同行した。地球温暖化を理解するために、コンピューターを使って処理できる範囲はわずか数十年分だが、その数値は厳しい現実を突きつけている。だが、そうしたデータはどこからくるのか。

GPSモジュールを修理するホランド教授。タシーラクで6月撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

それを解明すべく、米航空宇宙局(NASA)のプロジェクト「オーシャンズ・メルティング・グリーンランド(OMG)」に関わる研究者の一行にロイター取材陣は同行した。彼らの目的は、海洋の温暖化がどのようにグリーンランドの氷を解かしているかを調べることだ。

ロイターはまた、別の研究プロジェクトで来ていたニューヨーク大学の海洋学者デービッド・ホランド教授にも取材した。教授もヘルハイム氷河のカービングを目撃した。

私は、NASAの主任調査員ジョシュ・ウィリス氏や他の研究者と共にNASAの飛行機に乗り込んだ。約1万2000メートルの高さから、グリーンランド一帯に無限に広がっているかのように見える真っ白な氷冠を眺めると、この仕事のスケールの大きさを再認識した。

飛行機は、グリーンランド東部の岩だらけの崖や岩場の上空を巧みに通り抜けた。崖や岩場は巨大な氷河によって徐々に削り取られ、ちりと化す。

レーダーエンジニアのミュラーショーン氏。アイスランドのケプラビークで3月撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

私は3月、アイスランドの都市ケプラビークでNASAの研究チームに1週間同行した。毎日、私たちは凍りついた滑走路から飛び立ち、グリーンランド沿岸部に向かった。ティム・ミラー氏、ロン・ミュラーショーン氏、デービッド・オースターベリー氏ら研究者は、レーダーで集めた氷河層に関するデータから、際限なく流れてくる数やシンボル、文字をコンピューターで解析した。

ヘルハイム氷河で大規模な分離発生後、セルミリクフィヨルドを漂流する平板状の氷山。タシーラクで6月撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

ニューヨーク大のホランド教授はかれこれ10年以上、ヘルハイムのほか、ヤコブスハブン氷河を研究している。

私は6月、人口約2000人の海沿いの村タシーラクに近いヘルハイム氷河を訪れるホランド教授に同行した。村にはホテルが2つしかないにもかかわらず意外にも、ちょっとした観光地として成り立っていた。これらのホテルでは、クジラ肉が出されることもある。

レーダードームを組み立てる研究チームのメンバー。タシーラクで6月撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

交通手段は限られており、夏なら船かヘリコプター、冬なら犬ぞりだ。夏の時期、太陽は1日数時間しか沈まない。

ホランド教授は地震活動や気温や風のデータを集め、タイムラプス(低速度撮影)で写真を撮影していた。

NASAの飛行機からグリーンランド東部を3月撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

ジャーナリストにとっても研究者にとっても、気候変動は記録するのが難しい。感知できないほどごくわずかな程度で起きることがほとんどだからだ。0.1度の温度上昇、数センチに満たない降雨量、徐々に解けていく氷床、といったように。

だからこそ、何十億トンもの氷が突然崩壊するのを目の当たりにするのは圧巻だった。一瞬にして、それは小さな、あるいは遠い問題ではなくなった。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below