[ベルリン/フランクフルト 6日 ロイター] - ドイツの検察当局は6日、不正会計疑惑に揺れる決済サービス企業ワイヤーカードWDIG.DEのドバイ子会社トップを詐欺に関与した疑いなどで逮捕したと発表した。
ミュンヘン検察当局によると、カードシステムズ・ミドルイーストの最高経営責任者(CEO)はドバイを出国後、当局に出頭。取り調べを受けた後、逮捕された。CEOの名前は明らかにされていない。容疑者が良く知られている人物でない限り、ドイツの法律下では身元を公表する必要はない。
検察当局は、逮捕容疑は詐欺共謀、詐欺未遂、その他の犯罪のほう助だと説明、逃亡や証拠改ざんの恐れがあったとした。
ワイヤーカードは6月、約40億ユーロ(45億ドル)の負債を抱えて破産を申請。信託口座にあるはずの19億ユーロが不明になっていることが判明し、会計監査を担当していたEYは、巧妙な国際的不正が行われた結果だとしていた。
これまでの報道では、ワイヤーカードが売上高と利益を上げるために行った不透明な取引の拠点の1つがカードシステムズだとされてきた。
ドイツ連邦金融監督庁(Bafin)のフーフェルト長官は2日、ワイヤーカードの不正会計疑惑は「巨大な犯罪行為」だとの認識を示した。
一方、事情に詳しい関係者によると、同社の債権者委員会は7日に初会合を開く見通し。詐欺疑惑を巡る捜査の状況や資産売却計画について話し合うとみられる。
破産管財人を務めるミヒャエル・ヤッフェ氏は資産売却を通じて債務の支払い財源の少なくとも一部を確保したい考えだという。ただ、関係者の1人は、資産売却で調達できるのは4億─5億ユーロ程度にとどまる見通しだと指摘。債務総額の約1割にしか満たない。
関係者によると、債権者会合には銀行側の代表としてオランダのINGINGA.ASと独地方銀バーデン・ビュルテンベルク州立銀行(LBBW)が出席し、社債保有者の代表としてサイラス・キャピタルが選任した法律事務所が参加する見通し。従業員の代表も出席する。
債権者委のメンバーからコメントは得られていない。
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