[ベルリン 25日 ロイター] - 不正会計疑惑に揺れるドイツの決済サービス企業ワイヤーカードWDIG.DEが25日、破産手続きの開始を申請すると表明した。負債額は35億ユーロ(約40億ドル)相当に上る。ドイツの優良株で構成するDAX指数の採用銘柄が指数から除外される前に破綻したのは初めて。
同社は短い声明を発表し「近く支払い不能に陥る見通しで、負債が過剰なため」新経営陣がミュンヘンの裁判所に破産手続きを申請することを決めたと表明。子会社についても破産手続きの是非を検討していると述べた。
関係筋によると、債権の回収は困難とみられている。同社は15行から17億5000万ユーロの借り入れを行っているほか、5億ユーロの社債を発行している。
ある銀行関係者は「わずかな金額は取り戻せるかもしれないが、現時点では損失処理扱いになる」と述べた。
同社は2019年の信託勘定から19億ユーロ(約21億ドル)が消えたと発表した問題で、この現金が初めから存在しなかった可能性があると明らかにしている。
発表に先立ち、ワイヤーカード株は売買停止となった。
同社株は、会計事務所EYが先週、会計の承認を拒否して以降90%以上急落。マークス・ブラウン最高経営責任者(CEO)が辞任していた。
ワイヤーカードはドイツで育ったフィンテック企業の成功例として称賛され、2018年にDAX指数の構成銘柄となった。最盛期には株式時価総額が280億ドルに達した。
ミュンヘンの検察当局は、会社の収入を過大に見せ掛けようとした疑いですでにブラウン前CEOを逮捕しており、「あらゆる犯罪行為の可能性について捜査していく」と表明した。
*内容を追加しました。
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