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コラム:世界的リスクオフ反転へカギ握るFRB、焦点はイエレン証言

[東京 22日 ロイター] - ドラギ欧州中銀(ECB)総裁が3月に金融政策スタンスを見直す考えを示し、世界の株式市場には、買い戻しの動きがみえてきた。だが、年初からの世界的なリスクオフ心理の強まりは、米利上げが起点になっており、米連邦準備理事会(FRB)がどのようなシグナルを出すのか、見極めないとリスクオンへの転換は難しいだろう。その意味で2月10日のイエレンFRB議長による米議会での発言が、当面の焦点になりそうだ。

 1月22日、ECB総裁が3月に金融政策スタンスを見直す考えを示し、世界の株式市場には、買い戻しの動きがみえてきた。写真は昨年12月ワシントンで撮影(2016年 ロイター/Jonathan Ernst)

<とりあえず効いたドラギ発言>

ドラギECB総裁の発言は、「底なしの下落リスク」を感じ始めていた株式市場やコモディティ市場の関係者にとって、願ってもない朗報となった。

というのも、昨年12月に追加緩和を実施したばかりであり、その結果も市場の期待値を下回って、ユーロが下落するどころか上昇。「ドラギマジック」に陰りが見え、今回は何もないという声が多かったからだ。

しかし、21日の会見では、年明け以降、新興国の成長見通しや金融、コモディティ市場の混乱、地政学リスクなどをめぐる不透明感が強まる中で「下振れリスクが再び高まった」と明確に指摘。「そのため次回3月初旬の理事会で、金融政策スタンスを見直すとともに、おそらく再検討する必要がある」と踏み込んだ。市場は「追加緩和示唆」と受け取った。

22日の東京市場では、日経平均.N225が一時700円を超える上昇となり、1万6700円台を回復した。

ただ、この相場上昇が、トレンド変換となるのか、それとも一過性の「息継ぎ」に過ぎないのか──。多くの市場関係者は、判断を下しかねているようだ。

<中国市場の波乱・原油安、起点は米利上げ>

年明け早々の市場では、株安の原因を人民元や中国株の下落と捉え「中国経済は緩やかに成長しており、相場は行き過ぎ。いずれ落ち着きを取り戻す」との見方が多かった。

また、原油価格の下落に関しても「20ドル台はオーバーシュート。いずれ30ドル台から40ドル台に戻る」との見方が多かった。

しかし、ここにきてようやく今回のリスク回避現象の中心に「米利上げ」があるとの見方が広がり出してきた。

中国市場の変動にしても、コモディティ市場の下落にしても、昨年12月に始まった米利上げによって、マネーがドル建て資産に回帰するという見通しや思惑によって、その動きが加速している要素が大きい。

2016年に4回の利上げがありうるとした年初のフィッシャーFRB副議長の発言は、8日に送信したコラム「世界的株安の中心に米利上げの反作用、4回維持なら振幅拡大」[nL3N14S1HH]で指摘したように、リスクオフ相場のトリガーを引いた可能性が高い。

<FRB幹部発言、変化の予兆も>

ただ、ここにきてFRB幹部から、微妙な軌道修正を「予感」させる発言が出てきている。これまでタカ派的な発言を繰り返してきたセントルイス地区連銀のブラード総裁は14日、原油価格の継続的な下落は、インフレ期待の「厄介」な低下をもたらす恐れがあると発言。最近の市場動向に警戒感を持っていることを明らかにした。

また、イエレン議長に近いとみられているダドリーNY連銀総裁は15日、原油安とドル高がインフレ率目標の達成を困難にしているとの見解を表明した。

ただ、期待の低下は「利上げを思いとどまらせるほど十分ではなかった」とも発言。16年の成長率は2%超、労働市場は多少ながらさらに引き締まるとの見通しも示した。

もし、FRBが年4回の利上げペースを緩める方針を明確にすれば、年初から顕在化してきたリスクオフ心理とマネーのリスク回避現象は、いったん小康状態になる可能性があると予想する。

実際、米アトランタ地区連銀は発表しているGDP・NOWは、1月20日時点でプラス0.7%にとどまっている。低成長で利上げを繰り返せば、景気の足踏みとともにFRB幹部が懸念するインフレ期待の低下を招くことになりかねない。

<イエレン発言次第で、日米欧の協調ムード演出も>

その意味で2月10日の米下院金融委員会、11日の米上院銀行委員会でのイエレン議長の金融政策に対する発言は、当面最大の材料になるだろう。

ここで3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げに消極的なスタンスを示せば、リスク資産からのマネー流出に一定の歯止めをかけることができる。

日銀が1月28、29日の金融政策決定会合でどのような結論を出すのか、今のところ断定的なことは言えないが、仮に1月会合で追加緩和を見送っても「必要ならちゅうちょなく」というスタンスの黒田東彦総裁が、3月にいよいよ動くとの思惑は一層高まることになるだろう。

また、ドラギ総裁は3月の追加緩和の可能性を強くにじませる発言を行った。2月10日にイエレン議長が3月の利上げ見送りを示唆するメッセージを出せば、日米欧が市場の急変動に対し、足並みをそろえるという「協調イメージ」を演出することが可能になると考える。

1月最終週のFOMC、日銀金融政策決定会合と続くイベントの先にあるイエレン議長の米議会証言が、マーケットの暗夜行路を導く「一条の光」になるのかどうか。FRBからのメッセージは、いよいよ重要度を増しそうだ。

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