[ニューヨーク 13日 ロイター] - あなたが誰であれ、どんな職業であれ、ちょっと当ててみよう。あなたは今、少し燃え尽きたと感じているのではないだろうか。
当たっただろうか。もしそうであれば、あなたは仕事でバーンアウトした(燃え尽きた)と感じている3分の2の米国人のうちの1人、ということになる。
最近公表されたギャラップの世論調査によると、全体の23%は頻繁もしくは常にバーンアウトしており、44%は時折そう感じるという。この症状はまん延しているのだ。
クリーブランド・クリニックのアドリエンヌ・ボアシー医師は、この結果に驚かないだろう。同クリニックでは、所属する1500人以上の医師らにバーンアウトについて質問したところ、35%が少なくとも1つの症状を報告した。
全国規模はもっと深刻で、大手総合病院メイヨー・クリニックによると、54%の医師が症状を示しているという。
「皆、1日の終わりには抜け殻のようになっている」と、従業員のバーンアウト対策にあたっているボアシー医師は語る。「ストレスと苦しみは無限にある」
生死に関わる環境にある医療業界だけの問題ではない。業界、地域にかかわらずバーンアウトは起きる。昨年、人気女性ユーチューバーのリリー・シンさんがリフレッシュするために休むと発表したことは、大きな話題となった。
それにしても、なぜ皆これほど消耗しているのだろうか。答えは1つには絞れない。現代の労働者がくたくたなのは、複数の要因が絡み合っている。
1つは、テクノロジーだ。スマートフォンによって、今や人々は週7日24時間連絡できるようになり、通常の勤務時間外でも連絡がつくことを期待されるようになった。これにより、1日がオフィス勤務と自宅勤務という2シフト制の仕事のようになりかねない。
「人と連絡をとるための方法がいくつもあり、うまくやりくりしようとすることがストレスになる」と米コンサルティング大手ベインのジュリー・コフマン氏は語る。「かじを取るのは大変だ」
バーンアウトは誰のためにもならないことに、企業や団体は気づき始めている。クリーブランド・クリニックでは、医師のバーンアウトを低減するための対策を、ボアシー医師のチームが実施している。
彼らが抱えている問題の多くは、膨大な書類が原因となっているため、最近では助手がより多くの書類や処方箋の書き出しを手伝い、医師がもっと患者と向き合えるようにしている。
同クリニックでは「コード・ラベンダーズ」と呼ばれる取り組みも行われており、日々院内で起きる、心に傷を負うような出来事に対処するのを助ける専任チームがいる。
<バーンアウトを防ぐコツ>
ベインのコフマン氏が提案するバーンアウトを防ぐコツは、以下の通り。
スタッフがスケジュールの詰め込みから解放されるよう、「ノー会議デー」や「ノーメールデー」を設ける。
もう1つは、従業員のネットワークを分析すること。もし、皆が特定のマネジャーと話をしたがっているとしたら、そのマネジャーの負担を低減する必要がある。
また、「ノー」と言うことは問題ないと覚えておくことだ。もし5つのプロジェクトが同時にあなたの時間を必要とするなら、上司のところに行って優先順位をつけ、他の人に引き渡せるものを決めるべきだ。
転職によってプレッシャーを減らすこともできる。
インターネット企業での経験が豊富なジェーン・バラットさんは、以前の職場では「誰もが、自分がどれだけ疲れているかという話しかしなかった」と語る。
経済データ企業のMXにチーフ・アドボカシー・オフィサーとして転職すると、まるで別世界のようだったと彼女は言う。配偶者と子どものためのスペース、休憩室、さらにマッサージや、劇場やテーマパークでの大規模な家族向けイベントなどがある。
転職先でのバラットさんは、これまでのIT企業であったような疲労を感じていないという。「今までこのような環境で働いたことはなかった」と彼女は語る。
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