[ワシントン 21日 ロイター] 米下院本会議は21日、医療保険改革法案を賛成多数で可決した。米国民の大半が医療保険に加入することになり、同改革を最重要課題と位置付けて法案への支持を呼びかけてきたオバマ大統領にとって大きな勝利と言える。
採決は賛成219票、反対212票の僅差。共和党全議員に加え、民主党議員34人が反対に回った。
法案は上院ですでに可決されており、オバマ大統領の署名を経て成立することになる。
法案により、米国内の無保険者の数が3200万人減少して国民の95%が医療保険に加入するようになるほか、既往症のある人の保険加入が可能になる。低所得者向け公的保険も拡大される。
オバマ米大統領は法案可決を受けてホワイトハウスで「(可決は)もはや不可能との予想に反し、政治の重圧を乗り越えた」として可決を称賛。「この法案で米医療制度の問題すべてが解決するわけではないが、われわれは正しい方向に動き出す。これが変革の姿だ」と述べた。
共和党や業界の反対派は、10年間で9400億ドルを費やすこの法案について、医療セクターへの高圧的な介入であり、ヘルスケアコストの上昇を招くほか、米財政赤字の拡大、患者の選択肢減少にもつながると批判した。
法案は、大半の国民に対し保険加入を事実上義務化、低所得者層には補助を給付する。
補助給付などの主要な条項は2014年まで実施されない見通しだが、既往症による加入拒否の禁止など多くの保険制度改革は初年から適用される。
法案をめぐっては、直前まで可決に必要な216票を確保できるか微妙な情勢だったが、オバマ大統領が妊娠中絶への連邦政府の資金拠出禁止を再確認する大統領令を出すとホワイトハウスが確約したことで、土壇場で中絶反対派議員の支持が得られた。
下院でこの日可決されたのは昨年12月に上院を通過した法案だが、下院民主党の意向を反映した修正条項も同日可決された。上院は週明けにも修正条項の採決を行う見通しで、単純過半数の賛成で可決が可能となる。
修正条項には、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)の負担増加分をネブラスカ州に限り免除する上院案の削除などが盛り込まれている。
共和党議員は、上院でこれらの修正条項に反対する構えを示している。