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ペイリン副大統領候補の登場、米国では「母親論争」も過熱

 [シンシナティ 2日 ロイター] ティーンエージャーの妊娠が政治問題にもなり、仕事を持つ母親たちの話題が道徳や倫理に関する議論にもなる米国。共和党のサラ・ペイリン副大統領候補(44)の登場により、母親の役割などをめぐる「母親論争」に火がついた格好となっている。

 9月2日、米共和党のペイリン副大統領候補の登場で「母親論争」が過熱。写真は3日、息子を抱く同候補(2008年 ロイター/Shannon Stapleton)

 マケイン氏が副大統領候補にアラスカ州知事のペイリン氏を選出したのは多くにとって予想外の展開であり、ペイリン氏の副大統領候補としての資質を疑問視する声も持ち上がった。さらにペイリン氏の個人的な横顔が明らかになるにつれ、さまざまな議論が白熱している。

 保守派で敬虔(けいけん)なクリスチャンとして知られるペイリン氏。4月に生まれたばかりのダウン症の赤ちゃんと妊娠中の17歳の娘など5人の子どもを持ちながら副大統領候補となることに対しては、非難と称賛の両方の声が聞かれる。

 ペイリン氏は大統領選挙に向けての向こう2カ月のみならず、副大統領になった場合は、最長で今後8年間のほとんどを家から離れて生活することになる。最新の米政府統計によると、2003年時点で同国では就学前の子どもを持つ母親の約3分の2が労働人口だった。

 禁欲教育や伝統的家族観を奨励する共和党の保守基盤だが、今のところはペイリン氏と妊娠中の娘ブリストルさんの味方になっている。ブリストルさんは出産し、赤ちゃんの父親と結婚する予定という。

 ミネソタ州で行われた共和党大会に参加した中絶反対派のボランティア女性、リンジー・マトロックさん(21)は「子どもを育てるのは親の義務だという聖書の言葉を忘れることはできない。しかし、子育てを上手にしながら、家にこもりっきりにならない親もいるとは強く思う」とコメント。その上で、ペイリン氏の息子がダウン症を抱えており、母親であるペイリン氏が常にそばにいられないことだけが気掛かりだと述べた。

 <性差別問題か>

 ワーキング・マザー誌を出版するワーキング・マザー・メディアのキャロス・エバンス最高経営責任者(CEO)は、新生児を持つ女性がシビアな仕事を引き受けるべきか議論されるという事実にいら立ちを見せる。「ペイリン氏が生後4カ月の子を抱えて仕事に戻れるかどうかではなく、米国が先進国で唯一、有給の出産・育児休暇制度を持たない国であるという事実こそ、議論の中心になるべきだ」と語る。エバンス氏によると、仕事を持つ母親は、米国では平均で出産後11週で職場に復帰するという。

 もしペイリン氏が男性だったら、こういった問題が議論になっているだろうか。この質問は、共和党も民主党も関係なく、米国民に投げ掛けられている。

 ウィスコンシン州でエンジニアとして働く8カ月の赤ちゃんの母である民主党員のバーバラ・マトウセックさん(41)は「子どもが小さいうちは女性はキャリアを持てないと言うなら、性差別していることになる」と語った。しかし同時にマトウセックさんは、17歳で妊娠中のブリストルさんを心配する。「妊娠して未婚の17歳の高校生でいることは、世界中から注目されていなくても十分に大変なことだ」と気遣う。

 一方、妊娠したティーンエージャーがいるという事実により、ペイリン氏の家庭が普通であることが示されたとみる有権者も一部にいる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所で商品トレーダーとして働く共和党員パット・リンチさん(42)は「これは米国全体で起きている問題。人々は彼女と自分とを重ね合わせると思う。人々は自分と似ている人に投票したいものだ」と話している。

(ロイター日本語ニュース 原文:Andorea Hopkins、翻訳:宮井 伸明)

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