[北京 14日 ロイター] 中国の温家宝首相は14日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の閉幕に合わせて記者会見し、中国はシリア危機で中立的な立場をとっており、シリア国民の苦しみに「深い痛みをおぼえる」と述べ、外交スタンスに変更はないことを示唆した。
また、チベット族の焼身自殺については、「社会の調和を乱すそのような極端な行動には賛成しない」と語った。
温首相の主な発言は以下の通り。
<シリアについて>
「中国はシリア問題で個人的な利害関係はなく、シリア政府も含め、特定の勢力を擁護することはしない。事実に基づき、独自の判断によってわれわれの立場を決定していく」
「中国政府はシリア問題に関して次の4つの立場を取っている。1つは、シリア国民の命が守られるべきだということ。誰の手によるものであろうと、市民の殺害はすぐに停止されなければならない」
「2つ目は、変革を求めるシリア国民の正当な願いを、中国は尊重するということ」
「3つ目は、中国はアラブ連盟と国連合同特使の活動を支持するということ」
「4つ目は、シリア国民が追い込まれている人道的窮地に中国は深く同情しており、今後も国際的な人道支援に参加していくということ」
「同時に、中国は独自のやり方で、政治的な対話がなされるよう関係者に精力的に働き掛けてきた。われわれは、民主化の要求は尊重され、応じられるべきだと信じている。民主化への流れは、どのような力をもってしても戻すことはできないと思う」
「中国とアラブの交流の歴史は1000年に及ぶ。イスラム文明を尊重し、アラブ諸国の大義名分を支持するというのが、中国の一貫した立場である」
「アラブ世界が変化を経験する中、中国の立場がアラブ諸国の理解と信頼を得られるものと私は信じている。最終的には中国とアラブ諸国の関係と交流は深まっていくだろう」
<チベット族の焼身自殺について>
「社会の調和を乱すそのような極端な行動には賛成しない。チベット族の若者は純真で、われわれはそのような行動に深く心を痛めている」
「チベット自治区と四川省のチベット族自治州が、中国固有の領土であるということは明白である。ダライ・ラマ14世の直接・間接的な支配にかかわらず、インド北部ダラムサラのいわゆるチベット亡命政府は神政政治を行っている。その目的は、チベット自治区や自治州を中国から分離させることである。この問題について、われわれの立場と原則が揺らぐものではない」
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