[カイロ 12日 ロイター] リビア東部ベンガジで11日夜、群衆による米国領事館襲撃を受けて避難しようとしていたスティーブンス駐リビア米国大使と3人の大使館職員がロケット弾攻撃で死亡した。襲撃の発端となったのは米国で制作された映画で、イスラム教の預言者ムハンマドが女性好きのほか、同性愛者などとしても描かれている。
米メディアは、問題となっている映画「Innocence of Muslims(原題)」について、イスラエル系米国人の不動産開発者が制作し、牧師のテリー・ジョーンズ氏が宣伝に関与したと伝えている。ジョーンズ氏は2010年にイスラム教の聖典コーランを焼却すると発表し、アフガニスタンでの抗議デモを誘発した人物で、映画について「風刺的だ」と語っている。
数週間前からインターネット上で広まっていたこの映画は、現代のエジプトでキリスト教徒の医師がイスラム教徒に診療所を襲撃されるシーンから始まる。物語はその後、ムハンマドの時代にさかのぼり、預言者が妻や他の女性と性的な関係を持つ場面もみられる。
また、コーランがユダヤ教の聖典やキリスト教の聖書から作られたと解されるエピソードや、ムハンマドが子どもを犠牲にする冷酷な指導者として描くシーンもあった。
多くのイスラム教徒にとってムハンマドを描写することは冒とくとされ、過去にも漫画や偶像化が侮辱的ととられて抗議になったり、当局者や聖職者のほか、一般のイスラム教徒や中東のキリスト教徒が非難する問題に発展したこともある。
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