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焦点:中国景気減速で原材料業者に打撃、デフォルトリスクも

[上海 14日 ロイター] - 中国経済の成長鈍化を受け、原材料供給業者が大きな打撃を受けている。なかでも、これまで事業拡大に向けて少なくとも4900億ドルの債務を積み上げてきた石炭、アルミ会社には、デフォルト(債務不履行)や会社閉鎖のリスクが浮上している。

8月14日、中国経済の成長鈍化を受け、石炭、アルミ会社など原材料供給業者が大きな打撃を受けている。写真は新疆ウイグル自治区の石炭工場。2007年1月撮影(2013年 ロイター)

中国の重工業は2009年、政府の景気刺激策を背景とした投資ブームに沸いたが、政府は現在では、重工業の縮小を目指している。こうした重工業に原材料を供給する業者が抱える多額の債務は、重工業が引き起こすシステミックな脅威の象徴だ。

最近発表された一部の経済指標では、中国経済が落ち着きを取り戻していることが示された。ただ成長率は9四半期連続で鈍化しており、中国政府が銀行に対して、企業への与信を絞るよう指導している中、原材料業者には一段の圧力となっている。

CLSAアジア・パシフィックで資源チームの責任者を務めるアンドリュー・ドリスコル氏は「こうした業者の一部で、流動性の問題や倒産が起きるのは避けられない情勢。向こう6─12カ月以内にも現実のものとなるだろう」との見方を示した。

中国本土に上場している石炭会社のうち、90%近くが2012年は減益となり、各社合計した利益は5年ぶりの低水準に落ち込んだ。中国上場の石炭会社は、かつては市場でもてはやされたものだが、今では財務状況の悪化が顕著になっている。

中国石炭協会(CCA)によると、売上高の減少を背景に、鉱山会社のなかには、従業員への給与支給のため、支払い遅延や借り入れを迫られている会社もある。

石炭価格が4年ぶりの低水準に下落しているうえに、今後も新鉱山の操業が見込まれ、輸入も依然として伸びている。こうしたなか、石炭セクターの見通しは暗い。

トムソン・ロイターのデータによると、中国の上場石炭会社の負債自己資本比率は55%(中央値)と1年前から15%ポイント上昇している。豪同業は13%だ。

アルミ、鉄鋼会社はさらに悪く、同比率はそれぞれ121%、113%という。

<問題広がる>

問題は、鉄鋼や造船などほかの旧来型産業でも表面化している。今年6月には、中国東部の江西省で鉄鋼会社が債務を返済できず、破産宣告を受けて閉鎖された。中国最大の民間造船会社、中国熔盛重工集団1101.HKは、政府に金融支援を求めた。

トムソン・ロイターのデータによると、上場石炭会社36社の債務は2850億元(約465億5000万ドル)。また、調査会社・中商情報網が入手した国家統計局のデータによると、国有企業と未上場会社も含む中国の石炭生産・洗浄会社が抱える債務は、2012年末時点で2兆6700億元で、前年同期から23%拡大した。

景気減速に伴い、主要石炭会社に対して顧客が負っている負債も急増。今年1─5月には1.5倍に拡大し688億元と、キャッシュフロー悪化につながっている。

UOBカイ・ヒアンの中国コモディティセクター担当シニアアナリスト、ヘレン・ラウ氏は「過剰生産能力を抱える産業は下期、厳しいリストラを余儀なくされるだろう。その結果、大手はより大きくなり、小規模な企業は倒産する」と指摘した。

トムソン・ロイター・ビジネス・クラシフィケーション・インデックスがカバーする中国のアルミ企業は、昨年は57億元の赤字。11年は53億元の黒字だった。

投資家は、石炭・アルミセクターの中で多額の債務を抱える企業を売っている。

具体名を挙げると、興発アルミ0098.HK、雲南アルミ000807.SZ、石炭会社の百花村600721.SS、秦発集団0866.HKは2010年以来、時価総額の半分以上を失った。こうした企業は負債自己資本比率が200%を超えているとされる。

中国上場アルミ会社25社の債務は2930億元。全社のデータが入手できたわけではないが、アルミ、石炭会社の債務は少なくとも3兆元(4900億ドル)に上る可能性がある。これは中国36地方政府が抱える債務の4分の3に相当する額だ。

<影の資金調達>

キャッシュフローの悪化を受けて、多くの企業は期限を迎える銀行融資を借り換えるため、債券市場や民間からの借り入れに向かっている。石炭会社9社が今年、国内債券市場から合計で約130億元を調達したが、そのうち6社は、調達資金の半分以上を債務返済に充てる、としている。また、今年債券を発行したアルミ企業4社のうちすべてが、調達資金をキャッシュフロー改善や債務返済に充てる計画だという。

アナリストの話によると、こうした債券の一部は、ディストレスト債(財務面から危機に陥っている企業の債務)投資家しか買わないような水準で取引されている。

さらに、アルミ、石炭会社は2011年以降、信託商品を通じて巨額の資金を調達している。信託基金とはさまざまな投資先に資金が投じられる規制の緩い市場だが、銀行融資を受けにくい小規模企業が資金調達手段として活用するケースが増えている。

しかし、景気低迷が長期化すれば、信託商品がデフォルトする可能性も高まる。

信託業界のポータル( www.Use-Trust.com )によると、中国の信託会社はこれまでに、鉱山関連の信託基金を100本近く、金額にして273億元分を設定した。

こうした鉱山関連の信託のうちの少なくとも70本が、2013年末までに満期を迎えるとみられている。こうした信託には、多くの銀行もエクスポージャーを持っているため、デフォルトすれば、金融セクター全体に激震が走ることになるだろう。

野村ホールディングス(香港)の中国担当チーフエコノミスト、張智威氏は「資金調達が難しくなると、多くの企業は信託ローンを利用しようとする。この資金調達チェーンが崩壊すると、最終的には債務デフォルトにつながる」との見方を示した。

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