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アングル:ウェブ発明者が見通すネット世界、中国に大転換も

[ロンドン 22日 ロイター] -中国の指導者らは経済を押し上げるために、同国のインターネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」をやがて取り払うことになるだろう──。ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を1989年に考案し、「インターネットの父」とも呼ばれる英国のコンピューター科学者ティム・バーナーズ・リー氏(58)は、ロイターとのインタビューでこう予見した。

11月22日、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を考案したバーナーズ・リー氏(写真)は、中国の指導者らが経済を押し上げるために、インターネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」をやがて取り払うことになると予見した。写真は2011年5月、スペインのビルバオで撮影(2013年 ロイター/Vincent West)

バーナーズ・リー氏が設立した団体「WWW基金」は21日、世界81カ国を対象にネットのアクセス、自由度、コンテンツなどを調査し、「ウェブ指数」としてまとめたランキングを発表した。

バーナーズ・リー氏はインタビューで、元米中央情報局(CIA)職員エドワード・スノーデン容疑者の暴露で発覚した米国の情報監視プログラムを非難。その米国は、監視活動の規模が明らかになったことや地方でのネット普及率が低いことなどから、ランキングで昨年から2つ順位を落とし、4位となった。1位は2年連続でスウェーデンだった。

一方、昨年は調査対象61カ国のうち29位だった中国は、81カ国中57位に後退。ただバーナーズ・リー氏は、今後上昇する可能性が最も大きいのは中国だと見る。

同氏は「ベルリンの壁は倒れたが、中国のグレート・ファイアウォールは倒れるのではなく、解放されると思う」と予想し、少しずつ、静かに、サイトごとに緩和されることを望むと指摘。「自由なアクセスを認めるのが早いほど、経済的にも強い国になることを意味する」と語る。

中国政府は検閲システムを通じ、フェイスブックやツイッター、一部の海外ニュースサイトへのアクセスを禁止しているほか、共産党指導部が国の安定や結束に害を与えるとみなすコンテンツも排除している。

バーナーズ・リー氏は、中国では政府がネットを管理しているため、市民がグレート・ファイアウォールを破壊する状況にはないと分析。「可能性があるのは、ネット規制が自分たちの利益にならないことや、経済や国の発展を妨げていると気付くことだ」と話す。

また、ソーシャルメディアの成長により世界中で政治参加が加速したことに勇気づけられたと述べる一方で、各国の情報収集活動や監視活動が民主主義を脅かす恐れがあると警戒する。

<スパイ活動対自由>

バーナーズ・リー氏は、特に米国と英国が行った盗聴活動について語り、スノーデン容疑者が暴いたスパイ活動の規模の大きさから、人権が侵害されていることが示されたと指摘。

「個人の権利が激しく損なわれた。それも秘密裏に」と述べ、インターネットにとって非常に深刻な脅威だと懸念を示す。

同氏は、国家にはネット犯罪に対抗する能力が必要だと認めながらも、英政府通信本部(GCHQ)や米国家安全保障局(NSA)など、民間人の情報を収集する機関には監督を強化する必要があると訴える。

その上で「米英のケースでは、こうした監督や一般への説明がなかったことは明らかだ」とし、情報機関に対する監視が極めて強力なものでなければいけないと強調した。

英情報機関の幹部らは、スノーデン容疑者を情報源とする報道は、欧米を狙った攻撃計画を食い止めようとする治安当局の能力を弱めるものだと非難している。

今年のWWW基金ランキングでは、英国は昨年と変わらず3位。2位はノルウェーで、世界最大のエネルギー大国ロシアは41位だった。

同基金は、政治的なコンテンツを大規模に検閲する国として、ロシア、カザフスタン、中国、パキスタン、サウジアラビアを挙げる。

WWWを発明した価値は本当にあったのか、ネットは善と悪のどちらの力になっているか。最後にこんな質問を投げ掛けてみると、バーナーズ・リー氏は「人間に力を与えていることから、全般的には圧倒的に善の力となっている」と自ら評価し、「人間は基本的に善で、創造性に富み、協調的だ」と付け加えた。

(Guy Faulconbridge記者、翻訳:橋本俊樹、編集:本田ももこ)

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