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焦点:中国の汚職撲滅は掛け声倒れ、訴追割合が低下

[北京 24日 ロイター] -中国の習近平国家主席は腐敗撲滅を掲げ、これまでよりも取り締まりが厳しくなるとの民衆の期待を自ら強めているが、最高人民検察院(最高検)の汚職調査に関するデータをロイターが分析したところ、当局が今年に入って訴追した件数の割合は過去5年間に比べ大きく低下している。

11月24日、中国の習近平国家主席は腐敗撲滅を掲げているが、汚職調査に関するデータをロイターが分析したところ、当局が今年に入って訴追した件数の割合は過去5年間に比べ大きく低下している。写真は13日撮影(2013年 ロイター/Jason Lee)

調査を受けた当局幹部の数も今年、前年と比べて横ばいとなりそうで、 人気取り政策が掛け声倒れになっていることが示唆された格好だ。

習国家主席は1年前に共産党総書記に就任して以来、「ハエ(小物)もトラ(大物)も一緒にたたく」と述べ、反汚職キャンペーンを展開。ただ、データにはそうした傾向は反映されていないようだ。

複数の専門家らは、あまりにも多くの当局者を処罰すれば政府や党の意思決定に混乱をきたす可能性があることから、習主席は慎重に事を進めているのではないかとみている。

中国汚職問題の専門家、米ペンシルベニア大学のユーフア・ワン氏は「誰もが拘束されることについて懸念する状況を彼らは望んでいない。それは党にとって災難だろう」と指摘する。

専門家の中には、過去10年間における毎年平均の汚職調査件数がほとんど同じであることについて、当局が最低限の目標を設定しているのではないかとみる向きもある。

習主席が来年、汚職の取り締まりを強化し、訴追件数が増加すればサプライズとなりそうだ。

中国の汚職に関する著書がある米ジョージア州立大学のアンドリュー・ウェデマン教授は「反汚職キャンペーンは大部分が全くのPR活動だ」と指摘。推移を見守る必要があるとの認識を示した。

<はびこる腐敗>

汚職は中国社会のほとんど隅々にまではびこっており、トランスペアレンシー・インターナショナルによる2012年の腐敗認識指数(上位ほど公的部門の腐敗が少ないことを示す)をみると、中国は176カ国中80位にランクされている。

汚職取り締まりを統括するのは、王岐山・党中央規律検査委員会書記。同書記は先月、規律検査員に対し、「衝撃と畏怖」を利用してターゲットに接するよう述べ、腐敗を一掃できなければ職が危機に瀕すると警告した。

党は今月、党幹部らの所得や財産に関する情報を記録するデータベースの設立計画を明らかにした。データベースの公表については何ら言及しなかった。

一方、党中央規律検査委は今年1月、初めてとなる記者会見を開催したほか、9月には陳情を受け付けるウェブサイトを立ち上げた。

政府、党中央規律検査委ともに、反汚職キャンペーンや最高人民検察院のデータに関する質問に回答しなかった。

中国の汚職問題を研究する香港大学の朱江南氏は「彼らは心から汚職を撲滅したいと考えているのではないかと思う」と指摘。「これまでに透明性は確実に向上している」と述べた。

<党のイメージ向上狙い>

2008─12年をカバーする最高人民検察院の公表データに基づくと、政府当局は昨年、汚職で3万5648人を調査し、前年比6%増となった。同検察院のデータを研究する前出のウェデマン教授は「私の直感では、2013年通年の数値は12年のトータルにかなり近くなるのではないか」と指摘する。

党中央規律検査委と地方の規律検査委は汚職調査を行うが、対象は党員に限られ、案件の一部が検察当局に送致される。規律検査委は今年の汚職案件の総数を公表していない。

香港大学の朱氏は規律検査委について、「負担が極めて過重だ」と指摘。「スタッフは著しく増えてはおらず、マンパワーの限界に直面している」と指摘する。

政府当局は今年1─8月、汚職で調査を受けた当局者のうち半数を訴追。最高人民検察院のデータによると、2008─12年ではこの割合は90%だった。

汚職調査を受けた各等級の当局幹部の数は今年、08─12年の年平均とほとんど変わらないとみられ、専門家らは反汚職キャンペーンは党のイメージ向上が狙いではないかとみている。

ペンシルベニア大学のワン氏は「キャンペーンの目的は党の正当性を確固なものにするためであり、より多くを拘束するためではないと考える」と述べた。

<汚職調査にも目標設定か>

汚職調査を受けた人の数は2003年以来、年平均でほとんど一定となっている。

最高人民検察院の報告書によると、2003─07年において当局の調査を受けた人の数は年平均で3万3495人。2008─12年の年平均は3万3569人で、差はわずか100人にも満たない。

これは何にでも目標を設ける中国では、汚職調査にも目標が設定されていることを示唆している。

習近平政権になって以降、数少ない「トラ」も捕獲されている。

5月には国家発展改革委員会副主任だった劉鉄男氏がネットでの汚職容疑告発を受けて解任され、8月に司法機関に送致された。

最近では、国有エネルギー大手の中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)0857.HK601857.SSや、その親会社である中国石油天然ガス集団(CNPC)の複数の元幹部が「重大な規律違反」の疑いで調査を受けている。

元幹部の中には、CNPCの会長も務めたことがあり、大手国有企業を管轄する国務院国有資産監督管理委員会(国資委、SASAC)主任(閣僚級)だった蒋潔敏氏も含まれている。

ペンシルベニア大学のワン氏は、今年に入ってから全体的に低水準となっている訴追割合は、当局が大きな案件を手掛けたいと考えていることの表れではないかと指摘。来年にもその成果が示されるかもしれないと付け加えた。

同氏は「その場合、非常に重大な意味を持つだろう」と指摘。「彼らは『ハエ』を摘発しているが、ハエの裏に隠れている『トラ』を見つけ出したいと考えている」と述べた。

(Adam Rose 執筆協力:Li Hui 翻訳:川上健一 編集:内田慎一)

*見出しを変えて再送します。

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