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アングル:中国企業が海外炭鉱に照準、豪資源大手に朗報か

[メルボルン 2日 ロイター] -中国企業の間で海外炭鉱の買収を検討する動きが出ている。中国政府が新たな環境規制を導入したことを受け、オーストラリアなどで生産される質の高い石炭への需要が高まっていることが背景だ。

企業戦略に詳しい複数の関係者が明らかにした。

中国は世界最大の石炭消費国。株主への還元拡大を検討している炭鉱会社にとっては、資産売却の絶好のチャンスとなる。

業界では、英豪系資源大手のリオ・ティントRIO.AXが、オーストラリアとモザンビークの石炭事業売却を目指しているほか、豪リンク・エナジーLNC.AXも、石炭部門ニュー・エメラルド・コールの売却を予定している。

ただ、中国企業は買収を急いではいない。石炭は供給過剰で価格の低迷が続いており、事業の資産価値が今後さらに低下すると見込まれているためだ。石炭価格は2011年以降、約3割値下がりしている。

法律事務所ミンター・エリソンの香港在勤パートナー、サム・ファランズ氏は「石炭資産の利権取得に関心を持っている顧客がいる。ただ、今後2年間は、市場環境の好転は見込めない。したがって、8カ月後ならかなり安く買えるものをなぜ今買う必要があるのか」と述べた。

中国政府は大気汚染対策の一環として、エネルギー源に石炭が占める比率を今年の73%から2017年までに65%以下に引き下げることを目指している。

このため、長期的には中国の一般炭ニーズは低下する見通しだが、石炭発電の比率が減ったとしても、調達の拡大は必要とみられている。また、石炭は最も安価な発電燃料で、石炭依存からの脱却には時間がかかるとみられている。

中国政府はこのほど、クリーンエネルギー普及策の一環として、従来よりも品質の高い石炭の活用を促す対策を発表した。

アーンスト・アンド・ヤングの鉱業・金属担当グローバルヘッド、マイケル・エリオット氏は、この規制により、石炭市場の二極化が進むと指摘。品質の高い石炭の価格上昇が見込まれるため、オーストラリア産石炭にとってはプラスに働く可能性があるとの見方を示した。

中国やオーストラリアの法務・金融アドバイザーによると、石炭資産の買収を目指している中国企業は、国有企業、鉱山会社、電力会社、商社など。発電用の一般炭や製鉄所用の原料炭の確保を目指しているという。

具体的な企業名は明らかにされていないが、国有の神華集団SHGRP.ULは、豪独立系石炭会社ホワイトヘブン・コールの資産や、リオ・ティントのクラーモント炭鉱の権益、リオ・ティント傘下の石炭生産企業コール&アライドの株式取得など、オーストラリアの資産に関心を寄せている。

中国の石炭大手、ヤン州煤業600188.SSも、豪石炭子会社であるヤンコール・オーストラリアYAL.AXの完全子会社化を提案し、オーストラリア政府の承認待ちとなっている。

アーンスト・アンド・ヤングのエリオット氏は、中国企業が開発リスクを避けるため、新規のプロジェクトへの出資ではなく、すでに操業している炭鉱の買収を目指す可能性が高いとの見方を示している。

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