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[ワシントン/プロビデンス 22日 ロイター] - イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は22日、米経済は第1・四半期の減速から持ち直すともに、国内外の向かい風も収まり始める見通しだとして、FRBは年内に利上げするとの見方を従来以上に明確に示した。
議長はこの日、米ロードアイランド州プロビデンスの商工会議所で講演。このところの経済減速は「一時的要因」が背景にあり、一部の指標が弱含んでいることについては「統計上のノイズ(雑音)」の可能性があると指摘し、今後は力強さを増すとの見方を示した。
議長が景気先行きに自信を示したことで、FRBができるだけ早期に利上げへの地ならしをしたいと考えていることが鮮明となった。
イエレン議長は、低インフレが長引いている点に言及、経済見通しは常に極めて不透明としながらも、雇用とインフレの目標を達成するまで金融引き締めを遅らせれば、経済を過熱させる恐れがあると述べた。
「そのため、景気回復が想定通り継続すれば、年内のいずれかの時点でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の引き上げを開始することが適切になると予想している」とした。
議長は3月の講演で、FRBは利上げについて「真剣に検討している」としながらも、「年内利上げがおそらく正当化されるだろう」と述べるにとどめていた。
ボルトン・グローバル・アセット・マネジメントの首席テクニカルストラテジスト、ブルース・ザロ氏は「利上げをこれまで以上に強く示唆した」と指摘。「FRBは市場の反応を懸念している。市場が激しく動揺するようなボラティリティーの高まりを望んでいないのだろう」 と述べた。
議長は一方で「全般的に賃金の伸びは失望させるようなペースで、労働市場が完全には回復していないことを示唆している」と指摘。
インフレ率が上向かない状況にも懸念を示した。ただ原油価格の反発など、一過性の要因が後退する中、中期的には目標の2%の水準に回帰するとの見方を示した。
イエレン議長は「向かい風が和らぐ中、米経済は成長に向かって良い状況にある」とし、今年、およびそれ以降の生産、雇用の伸びは「緩やか」になると見通した。
また利上げ開始後の引き上げペースは段階的となる可能性が高いとの見方をあらためて表明。「あらかじめ定まった軌道に沿ってFF金利を引き上げる意図はない」と言明した。
利上げ開始時期に関しても入手する指標次第との考えを強調した。
フェニックス・フィナンシャル・サービシズの首席市場アナリスト、ウェイン・カフマン氏は「イエレン議長は、米経済は改善しており、FRBは年内に利上げを開始すると確信している」とし、「利上げに踏み切るだけの適切な指標が出てくるのを待っているだけだ」と述べた。
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