[ニューヨーク 15日 ロイター] 米ゴールドマン・サックスGS.Nが15日発表した第3・四半期決算は、予想を上回る大幅増益となった。ただ、主に利益を押し上げたのが持続性が疑われるトレーディング収入だったため、失望感から株が売られた。
普通株株主帰属分の純利益は30億3000万ドル(1株当たり5.25ドル)となった。前年同期は8億4500万ドル(同1.81ドル)だった。
トムソン・ロイター・エスティメーツがまとめたアナリスト予想平均は1株利益4.24ドル。
投資銀行・フィナンシャルアドバイザリー業務は、合併・買収(M&A)が減少したことから純収入が減少した。
投資銀行の純収入は前年同期比31%減の8億9900万ドル。フィナンシャルアドバイザリーは47%減の3億2500万ドルだった。
債券・為替・商品部門(FICC)の純収入は59億9000万ドル。前年同期は15億9000万ドルだった。前年同期は苦戦したクレジット商品やモーゲージが堅調だった。
株式部門の純収入は78%増の27億8000万ドル。デリバティブや株式が好調だった。
プリンシパル・インベストメンツの純収入は12億6000万ドル。前年同期は4億5300万ドルの赤字だった。
ゴールドマンは、企業を対象としたプリンシパルインベストメント(自己資金による投資)や中国工商銀行(ICBC)への投資で利益を計上した。一方、不動産投資は6600億ドルの損失となった。
決算発表を受け、同社株は時間外取引で一時2.9%安となった。午前の米株式市場ではやや戻している。競合JPモルガン・チェースJPM.Nが好決算を発表していたため、ゴールドマンの決算に対する投資家の期待が高くなっていた可能性がある。
オークブルック・インベストメンツの共同最高投資責任者(CIO)ピーター・ジャンコフスキス氏は「ゴールドマンの数字は素晴らしかったが、高まっていた期待には応えられなかったようだ」と指摘。「問題は、実質的な収入であり、どれだけ再現が可能かだ。トレーディング収入には波がある。実際の収入ではあるが、毎四半期当てにできるものではない」と述べた。
スプレデックスの株式トレーダー、アリファ・シーク・ウスマニ氏は「予想を上回ったが(1株利益は)6ドルとの見方もあった。そのため発表後に(株が)若干売られた」と語った。
ゴールドマンは第3・四半期に報酬引当金を54億ドル積み増し、年初来の総額は168億ドルとなった。年末に200億ドル超の報酬を支給するペースとなっている。通常は純収入の約半分を報酬に充てているが、第3・四半期の割合は43%だった。
100億ドルの公的資金を全額返済したばかりということもあり、同社の報酬引当金の高さについては政治家や一般から批判の声が出ている。
イメージ刷新に努める同社は、教育慈善事業ゴールドマン・サックス基金に2億ドル寄付したと発表した。これにより非報酬費用は2%増の22億3000万ドルとなった。
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