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〔アングル〕定期分配型投信の分配金が減少、投資家マインドさらなる悪化も

 大林 優香記者

 [東京 14日 ロイター] 高齢層を中心に人気が高い定期分配型投信の基準価格が急落し、分配金が減少傾向をたどっている。米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け融資)問題に端を発した金融不安の深刻化で世界の株安や円高が加速し、資産が目減りしているためで、昨年後半から「質への逃避」先として見直し買いが入っていた外債ファンドも、急激な円高で基準価格が急落し、分配金を下げるケースも出てきた。

 「銀行で投信を購入している投資家は安定的な分配を目当てにしており、分配金が下がれば投資マインドが弱まり、資金の新規流入はさらに細る」(投信コンサルタントの田村威氏)との声もある。円の高止まりなどで基準価格の回復が遅れ、分配金の引き下げ圧力が強まれば、個人の投資意欲を一段と低下させる可能性もある。

 <基準価格の急落と分配金減少のダブルパンチ>

 分配金の支払いが年4回以上ある定期型分配ファンドは、年金等を補完する退職後の資産運用商品として年金受給世代や団塊の世代などに人気が高く、純資産総額ベースで追加型公募投信全体の約7割を占める。投信情報サービス会社のリッパーによると、定期分配型ファンドの騰落率(分配金再投資ベース)は10月だけでマイナス18%。世界で株安が加速したほか、円がユーロやドルなどに対して急上昇した痛手を受けた。

 ダブルパンチとなったのは資金の流出。リッパーの推計によると10月だけで定期型分配ファンドから4363億円が純流出し、流出額は9月の247億円から大幅に拡大した。投資家の安全志向の高まりで昨年来底堅い資金流入が続いていた外債ファンドが流出超に転じた影響が大きい。分配型外債ファンドの草分けで、純資産残高が国内最大の国際投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)<通称:グロソブ>」62002137JP.LPも10月だけで843億円が流出。月次の純流出額としては97年の設定以来最大となった。

 円の上昇が急激だったため「為替リスクがある外債ファンドを含め、リスク資産を手放したいとする投資家が投信を解約し、銀行の預金に乗り換える動きが広がった」(国際投信)という。

 <グロソブとグロイン>  

 10月末までの過去1年間で投資環境は急速に悪化している。東証株価指数.TOPXは46%、米S&P総合500種.GSPC.SPXは37%急落し、円は対ドルで15%、対ユーロで22%上昇するなど昨年前半までの株高・円安が逆転した。リッパーによると、定期分配型ファンドの平均騰落率は過去1年でマイナス34%、過去3年でマイナス18%で、この期間に投信を購入した個人の多くは含み損を抱え、新規投資にも慎重になっている。

 定期分配型ファンドの分配金推移をみると、キャピタルゲインを原資とするボーナス分配を含む分配金は1ファンド当たりの月次平均が今年1─10月期で約31円と07年に比べ約4割減、06年比でも3割減となった。分配型投信は多様化しており、相対的に低額でも長期に安定的な分配を志向するものと、キャピタルゲインも吐き出し高額配当を志向するものでは分配金の変動率は大きく異なる。

 例えば、97年設定のグロソブは、インカムなどを原資に預金の受け皿となるような安定分配を目指しており、01年1月以来40円の毎月分配を継続している。基準価格は10月28日に5908円の設定来安値をつけ、下落率が10月に26%、過去1年で23%、過去3年では22%となったが、配当金収入を加味したリターンは過去1年でマイナス17%、過去3年でマイナス4%にとどまり、過去5年ではプラス13%となっている。

 一方、05年設定でグロソブに次ぐ残高があるピクテ投信投資顧問の「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)<通称:グロイン>」62004937JP.LPは今年に入りボーナス分配が減少した。10月末までの1年間でみた分配金合計は1050円でその前1年の2090円からほぼ半減。ただ、10月末に5729円の設定来安値をつけた基準価格は過去1年で46%、過去3年で35%の下落となっているが、配当金収入を加味したリターンは過去1年で38%のマイナスにとどまり、過去3年では13%のプラスとなっている。

 <基準価格より分配金に注目する個人投資家>

 国内外の株安を反映し、年初から外国株式型ファンドを中心に四半期ごとなどに支払われるボーナス分配は減少傾向にあったが、4月には大和証券投資信託委託が「ダイワ世界債券ファンド(毎月分配型)」62005338JP.LPの分配金を100円から80円に引き下げたほか、10月にはニッセイアセットマネジメントが「ニッセイ高金利国債ファンド(愛称:スリーポイント)」62005640JP.LPの分配金を80円から60円に下げるなど大型外債ファンドが毎月分配を削減する動きも出てきた。

 田村氏によれば「年金の補完として投信の分配金を生活費の一部に組み込んでいる投資家も多く、分配金の推移は基準価格より注目されている」。大手地銀関係者は「ボーナス分配については変動を覚悟して購入している投資家が多く影響は限定的だが、円高と世界の金利低下で外債ファンドの分配金原資となるインカムが減り続け、人気の大型ファンドが毎月の分配を減額すれば、動揺して保有を見直す投資家が増える」と懸念する。

 とは言え、現行の預金金利を考慮すると安定的な定期収入を望む投資家にとって別の選択肢は見当たらず、「投資家は分配金がゼロにならない限り、長期保有を続ける」(投信大手)とみる向きもある。

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  (ロイター日本語ニュース 大林優香記者;編集 宮崎亜巳)

 ※(yuka.obayashi@thomsonreuters.com; 03-6441-1798; ロイターメッセージング: yuka.obayashi.reuters.com@reuters.net)

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