[東京 2日 ロイター] - 山岡浩巳・前日銀決済機構局長(フューチャー4722.T取締役)は2日、ロイターのインタビューに応じ、フェイスブックFB.Oが発行を計画する「リブラ」について、使用規模が法定通貨を上回ることになれば、金融政策の有効性が著しく低下する展開も予想されると述べた。ただ、リブラへの資金逃避を各国中銀が恐れ、政策の信認維持に努力するメリットも期待できるとした。
山岡氏は、政策への信認の違いによって、リブラのインパクトは異なると分析する。リブラはフェイスブックのアプリを使って、簡単に買ったり送金したりできるため「政策への信認が低い国では『ドル化』より『リブラ化』の方が起こりやすい」と話した。
フェイスブックによると、リブラはドル、ユーロ、円という「高信認通貨」のバスケットを裏づけ資産とする。
山岡氏は「信認の高い通貨を持っている国は、あまり怖がる必要はない」と述べ、金融政策の手法の大幅な変更を要請するものでもないとした。
ただ、当局者には、リブラ協会が通貨の構成比率を決めることへの「気持ちの悪さは相当あると思う」と話した。
そのうえで「リブラが法定通貨を上回って使われるようになると、金融政策の有効性は著しく低下する」と指摘した。
また、リブラを使えば、国境を越えた資本逃避が高速化するリスクがある。山岡氏は「各国とも、信認の低下にはこれまで以上に気を使わなくてはならない」と警鐘を鳴らした。規制に当たっては国際協調が避けて通れないと述べた。
木原麗花、和田崇彦 編集:田巻一彦
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