September 17, 2015 / 8:33 PM / 4 years ago

イエレン米FRB議長の会見要旨

[ワシントン 17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は17日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、ぜい弱な世界経済をめぐる懸念を踏まえ、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行水準に据え置くことを決定した。

 9月17日、米FOMCは金利据え置きを決定した。写真は記者会見に臨むイエレンFRB議長。ワシントンで17日撮影(2015年 ロイター/Jonathan Ernst)

イエレン議長がFOMC後の会見で行った発言の要旨は以下の通り。

<引き締めを待ち過ぎることは回避>

インフレ率が2%に戻るまで待った場合、そのころまでには失業率がわれわれが自然な水準と見なす水準を下回っていると思われるが、そうした状況になって初めて非常に緩和的な金融政策の引き揚げを開始した場合、(インフレ率は)われわれの目標である2%を大幅に超えて上昇する公算が大きい。

そしてわれわれは、実体経済を阻害する恐れのあるような方法で金融政策の引き締めを行わざるを得なくなる可能性がある。これは望ましい金融政策運営ではない。

<金融市場の混乱>

FRBは市場の上げ下げに反応すべきではなく、そうすることは明らかにわれわれの政策ではない。だが金融市場で著しい動向が発生すれば、その原因を追究することはわれわれの義務である。もちろん、確実とは言えないが、世界経済見通しをめぐる懸念がこうした金融市場の動向を招いているとわれわれは考えている。

これらの動向により、世界経済見通し、そしてそれがわれわれに与える影響を見極める必要が生じるため、われわれにも関係してくる。

また前回会合からこれまで、金融状況の引き締まりがある程度見られた。株価の調整、ドルの小幅上昇、リスクスプレッドの高まりなどは、金融状況の一定の引き締まりを反映している。

<FOMCは利上げを検討>

景気後退(リセッション)からの回復はこれまでのところ著しい進展を見せており、現時点で利上げに踏み切る根拠になるほど国内消費も十分に底堅くなっている。

今回の会合で、こうした可能性について討議した。ただ、海外で先行き不透明感が高まっていること、さらに、インフレの今後の見通しがやや軟調であることを踏まえ、労働市場のさらに幾分の改善など、インフレ率が中期的に2%に上昇していくとのより大きな確信を得るための確証が出てくるまで待つことが適切となると、FOMCは判断した。

<金融政策決定>

グレートリセッションからの回復はこれまで十分前進しているほか、国内支出は十分堅調のようであり、現時点で利上げに向けた議論をすることは可能だ。

われわれは会合でこの可能性を議論した。しかし、海外の不透明感の高まりや若干軟調なインフレ見通しを考慮すると、当委員会はインフレ率が中期的に2%に上昇するとの自信を強めるような、労働市場のさらに幾分の改善を含むさらなる証拠を待つのが適切だと判断した。

現在、私はこれら最近の情勢が示す意味合いを誇張したくはない。それはわれわれの見通しを根本的に変えるものではない。

経済は良好に推移しており、今後もそうした状況が続くとわれわれはみている。

これまでに私が指摘しているように、フェデラルファンド(FF)金利の最初の引き上げの時期は、経済見通しに関する今後の情報の意味合いを当委員会がどのように評価するか次第となる。はっきり言えば、われわれの決定は何らかの特定のデータ、もしくは金融市場の日々の動きに依存するものとはならないだろう。われわれの決定は、幅広い経済・金融指標や、われわれの目標に向けた実質的かつ予想される進展に関して累積された意味合いをどう評価するか次第となるだろう。

<不確実性>

もちろん常に不確実性は存在する。そうした不確実性が完全に払しょくされることは期待できない。

しかし、これまでの情勢や金融市場への影響を考慮すると、米国に及ぼしそうな影響について評価する時間がもう少しほしい。私がこれまでに言及したように、インフレ見通しはやや軟化した。さらに幾分の情勢の進展、すなわち、原油価格の下落やドルの一段高が短期的なインフレに幾分下押し圧力を与えているという状況がある。

われわれは現在、ドルや原油価格のこれまでの動きといった、これら一段の効果は一時的なものになると予想している。しかし、インフレに対する下押し圧力が若干存在する。われわれはさらに幾分の進展を確認したい。重要なのはこの中には、インフレ率が中期的に2%に回帰するとのわれわれの自信を強めるような、労働市場のさらなる改善が含まれるだろうということだ。

<10月利上げの可能性>

これまでも言ってきたとおり、毎回の会合が生きた情報を討議する場であり、FRBは毎回の会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を変更する決定を行うことができる。このことは10月の会合にも当てはまる。

これまでも強調してきたことだが、周知のとおり、金利変更の決定を行う時は、記者会見を行う。

10月利上げの可能性は残っている。

<労働市場の緩み>

われわれは、長期失業率の予想中央値に近付いているが、少なくとも私自身の判断としては、とりわけ不本意ながら、パートタイムに従事する労働者の高止まりや、失業率は少なくとも一定度、労働市場の緩みを過小評価していると労働参加率が示唆している点において、一段のスラック(需給の緩み)があると考える。

われわれは近付いている。労働市場は改善している。以前も申し上げたが、金融政策の効果波及には時間差が生じるため、両方の目標を完全に達成するまで引き締めプロセスの開始を待ちたくない。

<利上げの時期>

想定される全体の金利の道筋に比べると、経済にとって、利上げ開始の特定の時期の重要性ははるかに低いということを再度強調したい。緩和解除を開始した後も、経済は緩やかなペースでの利上げのみを正当化する状況で推移すると、われわれは引き続き想定している。

<国内経済>

ご存知のように、私が強調したいのは国内情勢は堅調だということだ。国内需要はしっかりとしたペースで伸びており、労働市場は改善し続けている。もちろん、こうした情勢が続くとのわれわれの期待を確認するために、今後の情報を注視する。そしてもちろん、世界的な金融・経済情勢も注視する。

<国際、市場情勢>

海外情勢の見通しは最近一段と不透明性を増しており、中国やその他の新興国の成長をめぐる懸念が出ていることで、金融市場のボラティリティーが著しく高まった。

7月会合以降、株価下落、ドル高の一段の進展、リスクスプレッドの拡大などにより、全般的な金融情勢が幾分引き締まった。

米国と諸外国の経済・金融上のかかわり合いが相互に大きいことを踏まえると、海外情勢を注視する必要がある。

<インフレ>

インフレ率は、エネルギー価格や輸入価格の下落を背景に、2%の目標を引き続き下回って推移している。

私と同僚は、これらの要因が一時的なものだと引き続き予想している。

だが最近、原油安やドル高が一段と進んだことは、こうした要因が完全に払しょくされるのに、さらにやや時間がかかることを示している。

<成長および労働市場>

先のドル高や外需の減退を反映し、純輸出は上期の純国内総生産(GDP)の伸びの著しい足かせとなった。純輸出による下押しは当面続く公算が大きいが、FOMCは全般的に緩やかなGDPの伸びになると引き続き予想している。

労働市場は今年これまで、最大雇用の目標に向かって一段の前進を見せた。過去3カ月の雇用の伸びは月平均22万人増だ。8月の失業率は5.1%と、6月会合時点で入手した最新の指標から0.4%ポイント低下した。ただ失業率の低下は、労働参加率の低下も伴った。

<米インフレに対する世界情勢の影響>

エネルギー価格や輸入価格の下落を一部反映し、インフレはわれわれの長期目標を下回り続けている。こうした要素によるインフレに対する下向き圧力は次第に薄れていくと引き続き予想しているが、このところの世界的な経済・金融情勢によりインフレに対する下向き圧力が短期的に増大する可能性がある。

これにより米国の活動が幾分抑制される可能性があるが、現時点ではFOMCが米経済見通しを大幅に変えるには至っていない。

<経済見通し>

失業率は低下し、労働市場の全般的な状況も引き続き改善している。だがインフレ率はエネルギー価格や輸入価格の下落を背景に、長期的な目標を引き続き下回って推移している。

これらの要因によるインフレ下押しの影響は、時間とともに弱まるとの予想を依然変えていないが、最近の世界経済、金融動向は、インフレに目先、一段の下向き圧力を加える公算が大きい。こうした状況が米経済の活動も幾分抑制するかもしれないが、現時点ではFOMCの米経済見通しを著しく変えるまでには至っていない。

<住宅市場>

住宅市場のさらなる改善を想定している。住宅市場は依然としてかなり落ち込んでいるが、二世帯が同居するケースはまだ多く、そこに住宅需要はあるはずで、雇用市場が上向き、所得の伸びが改善するなかで住宅需要は顕在化するだろう。

われわれは何を予想するか。住宅は現在、経済の非常に小さなセクターだ。米国の現在進行中の景気回復に関する私自身の見通しでは、住宅は経済の主要なけん引役ではない。住宅は補佐役を担う一方、十分な投資支出見通しに支えられる消費支出が主要なけん引役だ。ただ、私は住宅市場は上向くと引き続き予想している。

われわれの予想通りに物事が推移する場合、短期金利が時間をかけて非常に緩やかに一定程度上昇するとわれわれが想定しており、それがすでに長期金利に織り込まれていることを覚えていてほしい。

<バランスシート>

われわれの正常化の原則は、FF金利の引き上げを開始するまでは投資の削減も廃止も行わないことを示している。原則はまた、正常化のタイミングは経済および金融の状況とそれらに対するわれわれの評価で決まるとしている。

このガイダンスは引き続き機能している。われわれは正常化のプロセスが始まるまで、バランスシートの縮小開始を待ってきたことは確かだ。

われわれが利上げを先送りすれば、おそらくプロセスの開始も遅れることになる。ただ、われわれは決まった時期を示していない。われわれは適切なタイミングについて協議を継続中で、まだ決定を下していない。

<政府機関閉鎖の可能性>

われわれの判断にはまったく影響していない。政府運営に必要な予算案の承認や債務上限への対応は議会の仕事だ。米経済は回復を続けており、議会がその回復を危うくする行動を取るのを目にすることになれば、非常に残念だ。

<2012年の情報漏えい>

下院金融委員会と緊密に連携している。

*内容を追加して再送します。

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