June 6, 2016 / 6:41 PM / in 3 years

FRB議長講演:識者はこうみる

[6日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は6日、年初に見られたリスクが和らぐ中、前向きな国内景気の勢いがマイナス要因を上回っており、緩やかな利上げを想定しているとの認識を示した。

 6月6日、イエレンFRB議長は前向きな国内景気の勢いがマイナス要因を上回っており、緩やかな利上げを想定しているとの認識を示した。(2016年 ロイター/Charles Mostoller)

伸びが急減速した5月の米雇用統計をめぐっては、失望を誘う内容で注視する必要があるとの考えを示したが、「単月のデータを過度に重視すべきでない」と強調。労働市場に関する他の指標は、よりポジティブな内容になっているとした。

市場関係者のコメントは以下の通り。

<フェデレーティッド・インベスターズの首席株式市場ストラテジスト、フィル・オーランド氏>

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は、5月の雇用統計を精査していないようだ。米労働市場は過去3━4カ月悪化しており、通信大手ベライゾン・コミュニケーションのストライキなど特殊要因による大きな下振れとは片付けられない。

イエレン議長が労働市場は大丈夫だとわれわれに伝えようとしているのであれば、誠意がない。

コア個人消費支出(PCE)価格指数も過去数カ月低下しており、インフレは誤った方向に進んでいる。

議長の発言は極めてタカ派的で、従来から指標次第としてきた主張と矛盾する。

<CRTキャピタルのシニア国債ストラテジスト、イアン・リンゲン氏>

発言内容は強弱混交だった。雇用統計は失望的だったとの認識を示し、懸念を表明すると同時に、単一の経済指標に重点を置き過ぎることはないとの姿勢も示した。

市場はイエレン議長の発言について、どちらかと言えばややタカ派的でなかったものの、比較的まちまちなものだったと解釈している。今回の発言は市場に明らかな方向性を与えるものではなかった。

<ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの首席投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏>

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長がすべての選択肢を維持したことに意外感はない。議長は海外リスクやインフレ、弱い投資トレンドなどに関して一部懸念を示した。議長が自ら窮地に陥れば驚きだったが、そうはならなかった。

ドルは雇用統計後のような売り圧力にさらされ続けるだろう。来週利上げがないことは明白だ。

<コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジ(ワシントン)の首席市場アナリスト、オマー・エシナー氏>

先週発表の5月の米雇用統計を踏まえると、イエレン議長のこの日の発言は全般的に前向きだったとの印象を受けた。ただ時間枠をはずしたことで、6月の利上げはないと考えている。ただ、指標次第では7月の可能性はある。

イエレン議長は労働市場は全般的になお健全で、1回の経済指標を深読みするべきでないと考えている。雇用統計が発表された3日に失望感が広がったこと、市場関係者の間で減速は一時的なものではないと確認されたとの見方が広まったことを踏まえると、イエレン議長のこうした見方はやや驚きだった。

イエレン議長は市場よりやや前向きな見方を持っていることが判明し、この点がこの日の講演の重要なポイントだったと見ている。

<RBCキャピタル・マーケッツの首席米エコノミスト、トム・ポーセリ氏>

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、恐れられていたほどハト派でないと言って良いのではないか。多くの人が3日の雇用統計を状況判断の下押し材料と捉えたことに驚いている。イエレン氏はそうした姿勢をとらなかった。(雇用統計のみを重視すれば)労働市場の状況を示す他の指標と実際には相容れない一指標に、信ぴょう性を加えることとなる。イエレン氏は正しく反応したのだろう。

イエレン氏は、雇用統計は失望を誘い、懸念を抱かせる内容だが、単月の数値を深読みしないよう注意を促した。すべて正しいことを語った。ハト派でもタカ派でもなく、グレーゾーンの影に身を置く完璧な仕事をした。非常にバランスの取れた姿勢だ。

<みずほ証券 シニア債券ストラテジスト 丹治倫敦氏>

5月米雇用統計が非常に弱い結果となり、市場としては6月の米利上げはほぼないだろうとの見方になった。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長の講演に関しては、明確に利上げの時期を特定することはなかったので、大きな手掛かりにはならなかった。

もっとも、ここからさらに米金利の低下が勢いづくイメージを持っていない。単月のデータが下振れただけでは、足りないと受け止めている。

円債は基本的に米債と同じ方向に影響を受けるとみている。6月の10年最長期国債利回り(長期金利)はマイナス0.050%─マイナス0.150%のレンジを想定している。

<BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏>

6日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の講演では、前回の発言と比較して米利上げに対する姿勢が一歩後退したとの受け止めだ。先に発表された5月米雇用統計の悪化を踏まえたのだろう。今後は米経済指標とのバランスを取りながら利上げ時期を探る展開が続くとみる。ただいつまでも米経済の改善が続くわけではなく、在庫循環などで弱含んだりする可能性もあり、タイミングを逃せば年内の利上げが難しくなるだろう。

日本株にとっては円高リスクが拭えず、下値不安がくすぶる。米雇用統計が悪化した中でFRBが利上げを急げばネガティブに捉えられる。一方、6─7月の米利上げが見送られれば、夏場にかけて1ドル105円を再び割り込む懸念も強い。新興国市場や原油相場が落ち着いており、消費増税が見送られた状況では、日銀も一段の追加緩和に動く理由がなく、なおさら円高バイアスがかかりやすい状況といえる。

<三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト 瀬良礼子氏>

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の発言からは、前のめりに利上げに踏み出せない苦しい状況がうかがえた。6月の目はなくなったし、今後のデータ確認の必要性を考えれば7月も雲行きが怪しくなってきた。

ただ、わずか1回の雇用統計で、米国の利上げ局面が終了すると考えるのは早計だ。米国の物価上昇率は2%あるし、5月に地区連銀総裁らからタカ派寄りの発言が相次いだことからも、早期利上げに対するFRBのこだわりの強さがうかがえる。FRBは、年内に少なくとも1回は利上げしようとタイミングを計り続けるだろう。

目先では市場の利上げ期待が後退したことで、もう一段のドル安/円高もあり得る。ただ、ドル安は米企業収益の支えとなるため、米株価は崩れにくくなる。リスクセンチメントが悪化しなければ、ドル/円は100円割れをにらむような急激な円高にはならないとみている。

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の昨日の発言は、両論併記で歯切れが悪く、「今後数カ月での利上げはおそらく適切」とした5月27日の発言に比べて、トーンダウンした印象だ。

この背景には、FRBが想定した以上に急速な雇用の悪化などがあるとみている。

想定外に弱さを示した5月の雇用統計はもとより、一昨年10月から月次で公表され、イエレン議長自身が重要指標として位置付けていた「労働市場情勢指数(LMCI)」も、2009年のリセッション時に迫る悪化を見せ始めている。

5月末時点で、FRBは米経済が「景気後退の入口」にあるとの認識はあったはずだが、その時点では、あくまでも緩やかな後退のペースを想定していたことや、昨年9月の経験も踏まえて、将来政策のフリーハンドを確保するため、6月または7月に、利上げに踏み切りたいというスタンスだったのだろう。

しかし、労働市況にみられるように、FRBの想定以上に早いペースで景気減速が進んできたことで、5月末に描いていた早期利上げのシナリオがグラつき、それがイエレン議長の歯切れの悪さにつながっているとみている。

金融市場では、ドル/円や米10年国債利回りが、昨年6月にピークをつけているが、これは市場参加者の米景気に対する先行性を伴った見方を表すものだろう。

ドル/円の先行きについては、まずは2014年10月以降のチャートポイントの105円半ばから前半を目指し、その後は、上下変動を伴いつつも、米景気の減速度合に応じて、100―105円のレンジに移行していくとみている。

*内容を追加します。

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