March 23, 2018 / 5:31 AM / 3 months ago

焦点:個人が過去最大級の円売り、ドル105円割れは正念場

[東京 23日 ロイター] -

 3月23日、日本の個人投資家が年初来のドル安/円高局面で、逆張りの円売りを活発化させている。ドルの割安感が強まってきたことに加え、米国の金利上昇で高い金利収入が狙えることなどが背景だ。写真は都内で撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

日本の個人投資家が年初来のドル安/円高局面で、逆張りの円売りを活発化させている。ドルの割安感が強まってきたことに加え、米国の金利上昇で高い金利収入が狙えることなどが背景だ。仮想通貨相場の波乱で、一部投資家が外国為替証拠金(FX)取引へ回帰してきたとの指摘もある。買い持ちはすでに高水準に達しているだけに、ドルJPY=105円割れは個人にとっても正念場となりそうだ。

<円相場最大のリスク、個人はアベノミクス「継続」に賭け>

この日の取引でドルは心理的節目とされる105円台を1年4カ月ぶりに割り込んだ。しかし、個人の円売りの勢いは依然として衰えていない。

業界大手の外為どっとコムによると、ドルが105円を割れる直前のきょう早朝時点で、同社顧客のドル買い越し幅は12万枚超と、過去最大級となる3年8カ月ぶり高水準に到達。「その後の105円割れで損失確定の円買いも出たが、ドルの押し目買いも続いている」(外為どっとコム総合研究所調査部長の神田卓也氏)という。

東京金融取引所が運営するFX取引所「くりっく365」のドル買い越し幅も、16日に13万枚超と1年半ぶり高水準を回復。22日海外市場終了時点でも11万枚を維持している。同取引所の集計額では、米トランプ政権発足後のドル高/円安局面で逆張り的に売り越しを続けてきたが、今年1月以降は買い越しが鮮明となった。

ドル相場は米国の貿易政策が大きく耳目を集めているが、現在の円相場の最大の注目点はプロ、個人ともに、森友問題に揺れる国内政治の行方。すでに円売りを強めている個人の間では「安倍政権は持ちこたえ、政府は引き続き過度な円高を容認しないと想定した逆張りスタンスを維持」(岡三オンライン証券投資情報部長の武部力也氏)する戦略が多いという。

<2月14日に過去最大のドル買い/円売り>

個人の円売りは年初来、堅調続きだ。取引高で業界最大手のGMOクリック証券では2月半ばに、顧客のドル買い越し幅が開業以来最大を記録した。

同社によると、円売りが入り始めたのはドルがじり安となった1月以降。2月2日の1月米雇用統計をきっかけに米国債金利が急騰、ダウ平均が過去最大の下げ幅を記録するとドル買いは一気に勢いづき、ドル105円割れが目前に迫った14日に、過去最大の買いを集めた。「(重要指標の発表で)市場の関心が高まっていたところで米株が大きく崩れたので、注目を集めやすかったのでは」(デリバティブ部長の及川昌弘氏)という。

こうした動きは同社のみではない。金融先物取引業協会の調べでは、加盟54社を経由した個人のドル買い/円売りは2月、初めて2カ月連続で2兆円を超えた。[nL3N1QW3MA] その他の店頭各社も、ドルの買い持ちは3月に入った後も、高水準を保ったままだという。

<人気の秘訣は「高金利通貨・米ドル」>

多くの業界関係者が、個人が巨額の円売りに動いた最大の要因と指摘するのは、ドルの水準感。1月の日銀の国債買いオペの減額、ムニューシン米財務長官の「弱いドルは良い」発言などを背景に、ドルは年初の高値113円から2月の105円まで、1カ月強で8円急落した。

もともと逆張り志向の強い個人にとって、16年11月の米大統領選挙後にドルが急上昇する起点となった105円付近は、重要な下値支持線。プロ投資家も巨額オプションの下限に設定するような重要ポイントを一気に下振れることはないとの読みだったという。

さらに個人を後押ししたのが、スワップ・ポイントと呼ばれる高い金利収入。例えば現在、外為どっとコムで105円付近のドルを1万通貨単位、105万円分購入すると、低金利の円を売って高金利のドルを保有することになるため、ドルの金利収入である35円前後が収益として日々生じる。

同社によると、フォワードレートを元に算出する3月のドル/円のスワップ・ポイントは、08年10月以来の高水準となる35─42円程度。緩やかだが利上げをこなしつつ上昇する米金利を背景に、以前は高金利通貨として人気を集めた豪ドルの21円、NZドルの30円をしのぐ「最も高金利の通貨ペア」(神田氏)となったことも、大きな魅力のひとつだ。

<仮想通貨暴落でFXへ投資家回帰か>

もうひとつの背景は年明け以降、波乱に見舞われている仮想通貨投資から撤退した投資家が、FXへ回帰している可能性だ。それを直接裏付ける証拠はないが、関係者が関心を寄せるのはFX業界の取引金額。ビットスタンプ取引所のビットコインBTC=BTSPが史上最高値へわずか1カ月で倍化した昨年12月、金先協会が集計した店頭FXの取引金額は246兆円と、3年ぶりの低水準へ突然落ち込んだ。

ところがビットコインが暴落した1月以降、FXの取引金額はなぜか急回復。2月は一転して1年ぶりの400兆円超へ戻ったのだ。「突然の落ち込みと回復の背景は今でもはっきりしないが、仮想通貨の動きと無関係とはとても思えない」(業界幹部)との声が出るのも不自然ではない。

基太村真司 編集 橋本浩

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