October 21, 2014 / 6:48 AM / 5 years ago

インタビュー:ボラ拡大に過剰流動性の影=吉野・アジア開銀研所長

[東京 21日 ロイター] - アジア開発銀行研究所の吉野直行所長は、世界的な金融市場の変動が大きくなっている背景について、先進国による金融緩和の結果、過剰流動性が蓄積され、マネーが動き出すと大きな影響が出ると指摘した。

落ち着きを取り戻すには流動性縮小が必要だと分析した。日本にとっては円安進展のテンポとともに、エネルギー調達戦略の確立が重要であると力説した。

ロイターのインタビューに21日に応じた吉野所長は、世界的な為替・株価のボラティリティが高くなっている背景について「これまでの先進国の金融緩和によって、過剰流動性があふれているところへ、中東不安など何かのきっかけでマネーが右から左へと大きく動いたためだ」と指摘した。

特に途上国の景気停滞は、先進国経済の停滞による輸出減速や、マネー流出入により影響が及んだの見方を示した。そのうえで市場が落ちつくには、米国の過剰流動性が縮小することが必要だと指摘した。

また、円安が進行した為替相場についても「現在の貿易赤字からみれば、もっと円安になってもおかしくない。所得収支により経常黒字を確保し辛うじて現在の水準となっているが、エネルギー輸入増加や所得収支の変動があれば、円安が進行しかねない」との見通しを示した。

吉野所長は、円安の進行はエネルギー輸入コストの増大をもたらし、日本にとってエネルギー調達戦略も重要な局面を迎えていると指摘した。というのも、世界では資源・エネルギーに関する戦略的な動きが主要国でみられているためだとしている。

中でも、中国の動向に関連し「国内経済維持に必要な資源やエネルギー確保に向けて、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加国拡大を呼びかけており、各国の資源開発で主導権を握ろうとしている」と述べた。

そのうえでAIIBの設立は、中国経済の減速とも関連していると指摘。21日発表された第3・四半期の国内総生産(GDP)伸び率が7%台前半に減速した背景の1つとして、ミャンマーやベトナムに世界の生産拠点が移り、欧米の景気減速が加わって、中国の輸出が減少する傾向を指摘。「このことで低成長が続く可能性もある」と推計している。

こうした成長減速に伴って雇用に過剰感が出かねないが、中国はAIIBを通じて資源開発のために資金と雇用をセットで投入する狙いもある模様だとしている。

米国のシェールガス生産の開始も、世界のエネルギー情勢に大きく影響しそうだ。吉野所長は「米国がエネルギー輸入国でなくなることにより、石油の需給が崩れて中東諸国が今後一層、不安定な状況になる」と指摘した。

その要因として「これまで産油国が得ていた石油輸出収入が減少、貧しい中東諸国に流れていたサウジアラビアからの補助金も削減されれば、格差拡大と社会不安が引き起こされる可能性は強まる」との構図を示した。

こうした世界的なエネルギーをめぐる変化が、日本に与える影響は大きい。吉野所長は、日本にとって、1)米国からのシェールガス輸入、2)中東からの石油・天然ガス輸入、3)ロシアからの天然ガス──といった調達ルートの選択肢があるものの、各国とも日本に対して割安に供給してくるとも限らず、政治的に利用してくる可能性もあると述べた。

このため、日本政府にとって、太陽光発電などの代替エネルギーの開発促進が、最重要課題であると同時に、さらなるエネルギー効率の向上が必要であると提言。「日本にとって円安も重なり、どこから何をいくらで輸入するかが、重要になってくる」と述べた。

また、世界各国と比べて周回遅れとなっている再生エネルギーの開発も重要だとしている。

中川泉 編集:田巻一彦

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