February 19, 2015 / 6:38 AM / 5 years ago

焦点:アジア通貨の命運握る中国、元安誘導なら切下げ競争激化も

[シンガポール 19日 ロイター] - 世界的な通貨安競争が現実味を帯びるなかで、中国当局が人民元安誘導に動くのかどうか、アジアの市場関係者は固唾をのんで見守っている。

 2月19日、世界的な通貨安競争が現実味を帯びるなかで、中国当局が人民元安誘導に動くのかどうか、アジアの市場関係者は固唾をのんで見守っている。写真は北京の人民銀行本店、2014年11月撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

アジアの中銀は相次いで利下げに動いているが、それはデフレだけが原因なのではない。むしろ、中国が人民元を下落させれば、アジア各国の政策オプションが狭まるため、先手を打っているという面もある。

今年に入って、シンガポール、インド、中国が予想外の利下げを実施した。直近ではインドネシアが17日、利下げに踏み切っている。

特にインドネシアの利下げは、人民元がアジアの政策決定に大きな影響を及ぼしていることが示されたという点で、非常に興味深い。

インドネシアでは自国通貨が下落しており、インフレ率は低下しているものの、なお高水準にある。一見、利下げを急ぐ必要もなさそうなインドネシア中銀が、このタイミングで緩和したのは、米債券利回りの急激な上昇と人民元の大幅な下落という2大リスクを考慮したためだ。

こうした2つのシナリオが現実のものとなった場合、アジアは通貨の急落や、海外マネーの急激な流出に見舞われる可能性が大いにある。

関係者の間では、中国が元安誘導に動くとの観測は根強い。

HSBC(香港)のアジア経済調査部門の共同責任者、フレデリック・ニューマン氏は「中国が人民元を下落に導くことは、ありえない話ではない」と指摘。デフレ圧力が強まりつつある中国が、日本や一部の欧州諸国に追随して政策緩和に動く可能性は高い、との見方を示した。

<人民元、2015年に10%下落も>

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストは、人民元の下落は今はまだテールリスクに過ぎないと話す。ただ市場では、2015年に人民元が10%下落する確率を30%と織り込んでいるという。

ストラテジストのクラウディオ・ピロン氏は、オンショア元とオフショア元フォワードの動きを踏まえると、人民元は「競争的切り下げという明確で現実的なリスクに直面している」と述べた。

アジアの大半の国々は、中国に輸出していたり、世界の輸出市場で中国と競合したりしている。そのため、中国が人民元の下落に動いた場合は、アジアでし烈な通貨安競争が勃発するリスクは高い。

ピロン氏の試算によると、貿易加重平均ベースで割高感のあるフィリピンペソPHP=、タイバーツTHB=、シンガポールドルSGD=、インドネシアルピアが、下落の可能性が最も大きい。相対的に見て、台湾ドルTWD=とインドルピーINR=は下落可能性がそれほどない、という。

ただアナリストは、中国が基準値を大幅な元安方向に動かしたり、ドルペッグをやめ幅広い通貨バスケットに連動させるなど、劇的な措置にでも出ない限り、通貨安競争が激化することはない、とみている。

半面、中国が大改革に打って出れば、アジアの外為市場が混乱し相場が下落、大規模な資金流出が起こり、利上げを迫られるかもしれない。

HSBCのニューマン氏は「人民元はアジア地域全体のいかりのようなものだ。中国がいかりを投げ捨てないことを祈るのみだ」と述べ「いかりがなくなれば、外為市場は大荒れとなる」と警告した。

Vidya Ranganathan記者 翻訳:吉川彩 編集:加藤京子

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