Reuters logo
〔Executive Talk〕13年度も高水準の設備投資、国内たばこの震災前シェア回復には3―4年=JT<2914.T>次期社長
2012年5月8日 / 06:30 / 6年後

〔Executive Talk〕13年度も高水準の設備投資、国内たばこの震災前シェア回復には3―4年=JT<2914.T>次期社長

 [東京 8日 ロイター] 日本たばこ産業(JT)(2914.T)の次期社長に就任予定の小泉光臣副社長は8日、ロイターとのインタビューで、縮小トレンドが続く国内たばこ市場で成長を図るため、付加価値の高い商品の開発によって利益率の改善を目指す方針を示した。このため、研究開発費や設備投資を増加させる。13年3月期に前年比42%増と大幅な拡大を計画している設備投資は、14年3月期も同水準の継続を想定。ただ、東日本大震災で低下したシェアを震災前の水準に回復させるには3―4年かかると、厳しい見方をしている。

 小泉副社長は、6月下旬の株主総会、その後の取締役会を経て社長に就任する予定。

 <国内たばこ事業、狙いは高付加価値化で利益率改善>

 国内たばこ市場について小泉副社長は「市場規模が年率4―5%縮小するトレンドは続く」との見方を示した。こうした市場環境下で成長を図るためには「付加価値のある商品を開発し、それに見合った値段を付けられるかどうかだ。利益率の改善で利益成長をさせるしかない」と述べた。付加価値のある商品の開発のために、研究開発投資は増加させていく方針。

 新商品としては、「たばこではあるがシガレットではない領域」の製品の開発も行っている。同氏は「チャレンジすることで、ここで得た知見や技術、ノウハウは既存のシガレットのプロダクトにも活かされる」とし、力を入れているという。市場に出る可能性のあるものとして「3―4つある。新3カ年計画の間には、世に問いたい」と、意気込みを語った。

 11年3月の東日本大震災では工場の被災などで出荷を一時停止するなど大きな影響が出て、シェアも大幅ダウンを余儀なくされた。12年3月には単月でのシェアが60%まで回復したものの、小泉副社長は「震災前の水準(11年2月の63.6%)に是が非でも回復させたい。生易しいものではないため、3―4年かかると思う」と述べた。このため、キャンペーンやセールスプロモーション、流通とのコラボレーション費用などの販売促進費を大幅に増加させるという。

 また、設備投資も、国内外のたばこ事業中心に積極的に行う方針。12年3月期の1190億円から13年3月期には1690億円へ42%増加させるほか、14年3月期も「13年3月期と同程度の設備投資はやっていく。付加価値のある商品を開発するということは、生産ラインへの投資も必要になる。必要な投資は惜しまない」と強調した。

 <M&A、ファイナンスがネックになる可能性低い>

 海外たばこ事業では、既存市場でのブランド力向上を基本とし、売上高の成長を図る。必要があれば価格戦略を実施するほか、ブランドミックスの改善を進める。M&A(合併・買収)については「自律的成長で補えない部分はM&Aも辞さない。チャンスがあればやっていく」とし、十分なシナジーが取れ、成長が見込め、買収価格が合理的なことを条件に挙げた。そのうえで「世界市場で再編は一段落しており、大型買収の蓋然性は高くない。年間3000億円程度のキャッシュフローとレバレッジを考えると、ファイナンス(資金調達)がM&Aのボトルネックになる可能性は低い」とした。

 <食品事業、営業利益率3―4%達成が最優先>

 食品事業と医薬事業については「戦略的なオプションを取れるような状況に持っていくことが私の仕事」と述べた。

 医薬事業は、後期開発品を販売に持っていき、中期的な収益基盤を強化することが目標。食品事業はノンコア事業の整理などが一段落したため、国内食品企業の平均的な営業利益率3―4%と同水準にすることを最優先と位置付けている。「これを達成して初めて次の成長戦略を描くことができる」とし、業容の拡大や海外展開、M&Aなどを考えるのは、次のステージとの認識だ。

 アサヒグループホールディングス(2502.T)がカルピスの買収に動くなど、飲料業界でも再編の必要性を指摘する声は多い。ただ、小泉副社長は「(コーヒー飲料)ルーツをロングセラー商品としてブランド確立ができなければ、次の一手を打ってはいけない。それができないような組織がM&Aをしても、成功しない」と語った。

 12年3月期で食品事業の営業損益は黒字化、医薬事業は赤字が続いている。小泉副社長は「たばこ単品のビジネスではなく、事業ポートフォリオを持つ企業体の方が中期的・安定的な成長を図ることができる」とし、今中計中に両事業の基盤を固める方針だ。

 政府の保有株式放出に伴って株主も多様化することが予想されるが、株主対策については「中期的に企業価値を上げるるという王道を進むしかない」とした。

 

 (ロイターニュース 清水律子 藤田淳子 編集 橋本浩)

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below