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UPDATE3: アサヒ<2502.T>が約1200億円でカルピス買収、乳酸飲料の強いブランド取得で飲料強化
2012年5月8日 / 07:05 / 6年後

UPDATE3: アサヒ<2502.T>が約1200億円でカルピス買収、乳酸飲料の強いブランド取得で飲料強化

*アナリストのコメントを加えました。  

 [東京 8日 ロイター] アサヒグループホールディングス(2502.T)は8日、味の素(2802.T)からカルピス(東京都渋谷区)を買収すると発表した。味の素が保有するカルピス株すべてを約1200億円で取得する。クロージングは10月1日の予定。アサヒはカルピスの買収により、乳酸飲料の強いブランドを取得。国内飲料事業の基盤を強化し、業界シェア3位を確固たる地位にするとしている。

 株式価値1190億円に加え、クロージング時にカルピス社グループの現預金・運転資本等に基づいて追加して30億円を支払う可能性がある。一方、カルピス社が味の素に対して少なくとも250億円以上の配当を行い、その分が減額されることになる。このため、最終的なキャッシュアウト額は「900―1000億円になる」(アサヒの泉谷直木社長)。取得のための資金は、手元資金と外部借入を充当する予定。

 実質的な企業価値(840億円)のEBITDA倍率は9.1倍。みずほ証券エクイティ調査部シニアアナリストの佐治広氏は「日本の飲料会社のマルチプルは低下している。過去の7倍レベルとしても、3割のプレミアムが付いており、割高感がある」としている。そのうえで「アサヒは、過去の飲料ブランド買収で実績を上げており、割高感をシナジーでどのように正当化するかが注目だ」と指摘した。

 

 <強いブランドの集合体を目指す>

 

 カルピスの買収は、今年1月に泉谷社長から打診した。泉谷社長は「飲料市場はフラット、先行きも厳しい中でどうやったら勝ち残れるか。テーマはブランドだ。各カテゴリーでNO1ブランド、強いNO2をどう持つか。強いブランドの集合体のポートフォリオを作れれば、市場が厳しくなっても成長できる」と指摘。カルピスの持つ乳酸菌技術はアサヒにはなく「商品ポートフォリオ上も補完関係が強い」と、買収の目的を語った。

 アサヒとカルピスは、2001年に自動販売機での相互販売を開始、2007年に自動販売機事業を統合するなど協力の経緯があり、こうした信頼関係も、今回の買収のひとつの要因になったという。

 アサヒとカルピス、アサヒ飲料の3社で協業委員会を作り、今後、具体的な詰めを進める。現在、カルピスが行っている海外事業についても、どのようにするか、アサヒのアジア戦略にどのように組み込むかなど、同委員会で検討することになる。

 

 アサヒは、2015年までの長期ビジョンとして、売上高で2―2.5兆円、グローバル食品企業トップ10レベルの事業規模を目指している。泉谷社長は「長期ビジョンにおいて、国内では飲料・食品分野、海外では酒類・飲料分野での事業投資を拡大させていく方針を示している。今回の案件もこの一環。売上高で約1000億円、営業利益で60億円程度の貢献を見込んでいる」と話した。のれん償却を加味しても「初年度から黒字の貢献ができる見込み」という。

 アサヒ飲料とカルピスの早急な統合やカルピスの商号変更は当面行わず、ホールディングの傘下とする方針。

 

 一方、味の素はカルピス売却によって、コアビジネスに経営資源を振り向ける。11―13年度の中期計画では、市場としては新興国・途上国、分野としては調味料・調味料を利用した加工食品や先端バイオ関連へ経営資源を重点投資する方針を示している。今回のカルピス売却の資金についても「アライアンスやM&A、技術を買うこともあると思うが、グローバルに得意分野で成長するために使っていく」(伊藤雅俊社長)とした。

 同時に、味の素は、発行済み株式総数の7.39%に当たる5000万株・500億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。取得期間は5月9日から2013年1月21日。なお、取得した株式は全株消却する予定。

 カルピス売却で13年3月期の連結売上高は約480億円の減収となる。営業利益、当期利益への影響は軽微だという。同社は中期計画で14年3月期の連結営業利益870億円を掲げているが、この目標を変更することはない。

    

 <アサヒ、引き続きM&Aには積極的>

 

 泉谷社長は、2012年までに4000億円、2015年までに8000億円のM&A資金は投入できると発言していたことに触れ「その金額に変化はない。その金額の中で、どういう投資をしていくか、どういう資本政策を行っていくか、総合的に考えていく」と述べた。

 飲料のブランド力については「これで揃ったという不遜な態度は取らない」と述べ、さらなる強化に乗り出す可能性を示唆した。飲料業界のさらなる再編については「起こるかどうかわからないが、常に、商品ポートフォリオをどう強化するかのテーマを持って、いろいろな話があれば検討したい。逆に言えば、話が来る勢いを作っていきたい」と述べた。

 

 飲料総研によると、2011年のシェアは9.9%(連結ベース)で、コカ・コーラグループ、サントリー食品インターナショナル、伊藤園(2593.T)に次いで4位。カルピスのシェアは2.6%で、両社を合わせると12.5%となり、伊藤園を突き放して3強入りする。

 アサヒの飲料部門の2012年12月期売上高は3428億円、営業利益は165億円の見通し。一方、カルピスの12年3月期の売上高は1074億円、営業利益57億円。

 フィナンシャルアドバイザー(FA)は、アサヒがメリルリンチ証券、味の素がJPモルガン証券。

  

  (ロイターニュース 清水律子 久保信博)

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