June 8, 2012 / 10:38 AM / 7 years ago

〔焦点〕政府・日銀がレートチェック、円高阻止へ背水の陣 残る手段は実弾介入か

 [東京 8日 ロイター] 政府・日銀は1日海外の外国為替市場で、取引を前提に現在のレート提示を金融機関に求める「レートチェック」を実施した。当局が実弾介入実施前の最終手段に打って出たことで、為替市場のドルは8日にかけて79円後半へ2円超の円安が進んだが、スペイン問題など欧州危機の行方によっては、急速な円高が再び進みかねない情勢は変わらない。背水の陣でレートチェックに臨んだ政府・日銀だが、実弾介入となれば他国の反発は避けられそうもなく、当面は難しい判断が迫られそうだ。

 

 複数の関係筋によると、政府・日銀がレートチェックを実施したのは、米国で5月の雇用統計が発表された後の1日夜。事前の市場予想を大きく下回る結果を受けて、外為市場でドルが下落するとともに、リスク回避に向けた買いが円に集中。ドルは一時77.65円まで急速に下落して今年2月以来、3カ月半ぶりの円高水準を更新した。しかし、その直後に複数の銀行がレートチェックを受けたことで市場にうわさが広がり、ドルは78円後半まで一気に急騰。その後78円前半へ再び反落したが、急ピッチな円高進行には結果として歯止めがかかった。

 

 レートチェックとは、当局が市場の状況や現在のレートを金融機関に聞き取る通常のヒアリングではなく、当局が金融機関に対し、為替介入を前提としたレートの提示を求めるもの。提示されたレートを受けて、当局が買いの意志を表す「マイン」と返せば取引が成立して為替介入が行われるが、「ナッシング」と答えれば取引はキャンセルとなる。

 

 当局がわざわざ取引をキャンセルしたのは、為替介入の実施を前提としたレートの提示を金融機関を求めることで、介入も辞さない姿勢にある当局の現在の意志を市場に暗黙に伝えるためだ。過去の円高進行局面でも、当局は実際に介入を行う前にレートチェックを実施し、思惑を広げることで市場に揺さぶりをかけ、けん制する手段を取ってきた。

 

 1日夜にレートチェックを実施して以降、当局側の姿勢も急速に変化した。財務省の中尾武彦財務官が2日未明、省内で待ち受けていた記者団に「ノーコメント」としたのを皮切りに、投機的な円高には断固対応すると繰り返し表明してきた安住淳財務相も、4日早朝から為替には「ノーコメント」だけを繰り返している。レートチェックを通じて当局の強い意志を市場に直接伝えるとともに、「もしかしたらどこか(の銀行を通じて介入が)入ったのかもしれない」(市場関係者)と、市場の疑心暗鬼をあおることで、投機筋の円買い仕掛けに二の足を踏ませる作戦とみられる。

 

 ただ、レートチェックは実弾を伴わない一種の口先介入。これまでの実施場面でも、回数を重ねるごとにその効果は次第に薄れた。今回は稼いだ時間で欧州問題が収束に向かうなどして円相場が反転するか、時間切れとなって再び円に上昇圧力がかかるか。実弾介入も含め、政府・日銀に残されたカードは多くない。

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