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中国全人代、所得格差への対処が習近平・新国家主席の主要な課題に

 [園固堆(中国甘粛省) 3日 ロイター] 中国共産党の習近平総書記は、5日に開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で新たな国家主席に選出される見通しだ。拡大する所得格差への対処が差し迫った課題の1つになりそうだ。

 習総書記は昨年11月に党と軍のトップに立ち、実質的に中国のかじ取りを担っている。胡錦濤・現国家主席よりも穏やかでソフトなイメージを振りまいているが、胡政権時代に積み上がった不平等や腐敗といった問題への対応を迫られている。

 温家宝首相は在任中最後となる全人代の政府活動報告で、こうした問題に触れる見通しだ。

 中国には317人の億万長者がおり、世界全体の総数の2割に達している。2016年までには米国を抜いて世界最大の高級車市場となる見通しだ。

 一方で、国連によると、人口13億人の13%にあたる約1700万人が、依然として1日あたり1.25ドル未満で暮らしている。

 全人代は予定調和的な内容に終始するのが通例とはいえ、所得分配の問題は政府機構改革や腐敗、環境といった問題とともに主要な議題となる見通しだ。

 閉幕日に習近平氏を国家主席に、李克強・現副首相を首相に正式に選出する予定。

 関係筋によると、全人代のサイドラインとして民営企業家が集まり、国有企業の民営化を求める方針。また、民営の鉄鋼メーカー経営者も別のフォーラムで、国有企業優先の資金調達環境に対する不満を表明する予定だ。

 彼らは、民営企業が中国の経済成長の約6割、雇用の75%を生み出しているとしており、市場機能よりも国有企業を優遇することは経済をゆがめ、将来の競争力を損なうと主張している。

 中国当局は1月、所得格差を表す代表的な指標「ジニ係数」が2012年は0.474だったと発表。ジニ係数はゼロ─1で表され、所得分配が平等であればゼロに近づき、不平等であれば1に近づく。0.4を超えれば社会の不満が高まるとされる。

 習総書記が先月訪れた園固堆では、村民の多くがそれまで習総書記の名前を聞いたことすらなかったが、全員が不平等の問題が中国に存在することを知っている。

 若者の大半は、省都の蘭州に出稼ぎに出ている。建設作業員としての月給は1000元(160ドル)。村民のGuo Lianyingさん(32)は「お金持ちがお金持ちになればなるほど、われわれ村民は貧しくなる」と身振りを交えて表現した上で、「これは総書記が解決しなければならない問題だ」と語った。

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