[モスクワ 18日 ロイター] ユーロ圏の対キプロス金融支援策に銀行預金への課徴金適用が盛り込まれたことについて、ロシアのシルアノフ財務相は18日、ロシア政府との事前協議はなかったと明らかにし、キプロスをめぐり今後連携がなかった場合、同国向け既存融資の条件緩和に関する決定に影響する可能性もあると表明した。
ユーロ圏は、キプロス支援の一環としてロシアが同国に対する25億ユーロの既存融資の返済期限を5年延長するとともに、金利を引き下げることを期待している。
しかし、シルアノフ財務相はロイターに対し「連携して行動することでユーロ圏諸国と合意していた」と語り、「結果的に、銀行預金への課徴金というユーロ圏の措置はロシアとの話し合いを経ずに導入された。したがってロシアは、欧州連合(EU)とのキプロス協調支援への(将来の)参加を踏まえて融資再編の問題を検討する」と述べた。
ロシア政府筋によると、キプロスのサリス財務相は20日にモスクワを訪れ、融資条件の見直しでの合意を目指す見通し。
課徴金をめぐっては、プーチン大統領も「不公平で専門的な規範に反しており危険」と批判。
ロシア国内の報道によると、メドベージェフ首相はユーロ圏の決定について、他人の資産を没収しようとしているようだと指摘し、「こうした措置はソビエト時代によく知られていた」と語った。
キプロスと金融面でのつながりが深いロシアの意見を求めずにユーロ圏が課徴金導入を決めたことに、ロシア政府から不快感を示す声が相次ぐ格好となっている。
キプロスの銀行預金総額約700億ユーロのうち半分弱は非居住者の預金で、その大半はロシア人が占めるとみられている。