[ソウル 14日 ロイター] 米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は14日、韓国の自国通貨建ておよび外貨建ての長期格付けを、従来の「A/A+」から「A+/AA─」にそれぞれ1段階引き上げた。見通しは「安定的」。大手格付け会社による同国の格付け引き上げは過去3週間で3社目。
S&Pは、韓国の短期格付けについては、自国通貨建てを「A1」から「A1+」に引き上げ、外貨建てについては「A1」で維持した。
引き上げの理由について同社は、北朝鮮の円滑な権力移行で朝鮮半島の地政学的リスクが低減していることに加え、良好な政策環境、健全な財政ポジションなどを挙げた。ただ、韓国経済に関しては、世界経済の低迷で韓国製品に対する輸出需要が抑えられることから、今後1、2年は比較的弱い成長にとどまるとの見通しを示した。
S&Pは声明で「格付けの引き上げは、朝鮮半島の地政学的リスクに対するネガティブな評価が減少した結果だ。われわれは北朝鮮の権力移行が円滑に進んでいると判断しており、これにより北朝鮮の体制が突然崩壊したり、突然武力行動をエスカレートさせるリスクが減少したと考えている」と指摘した。
韓国政府は、主要国の格付けが引き下げられたり、格下げの脅威にさらされたりしている中で、世界の大手格付け3社がすべて同国の格付けを引き上げたことは「極めて例外的」だとしてS&Pの引き上げを歓迎した。
フィッチ・レーティングスは9月6日に、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは8月27日に韓国の格付けを1段階引き上げている。