December 18, 2012 / 10:17 AM / 6 years ago

再送:〔アングル〕安倍相場に潜む外交リスク、日中の緊張続けば緩和効果相殺

*この記事は18日午後7時14分に送信しました。

 [東京 18日 ロイター] 衆院選で自民党が圧勝し安倍晋三総裁が掲げる金融緩和強化への期待から、円安/株高が進んでいる。しかし新政権の対中外交次第では実体経済に害が及びかねない。金融市場では、日中関係の改善を急がなければ、中国向け輸出の低迷長期化が景気を下押しし、緩和効果が相殺されると懸念されている。安倍総裁が現実的な外交路線を取るかどうか、官庁、産業界、金融市場が見守っている。

 安倍総裁は17日の記者会見で沖縄県尖閣諸島(中国名・釣魚島)について「尖閣は日本の固有の領土。この点については交渉の余地はない」と明言した。これを受けて中国外務省の華春瑩・報道官は17日、定例会見の中で、日本が日中関係上の問題に適切に対処すること望むとの見解を発表した。

 安倍総裁は、首相就任後の靖国神社参拝については「日本のために命をかけた英霊に対して尊崇の念を表する。これはどの国のリーダーも行っている。私が(首相)在任中に参拝できなかったことは痛恨の極みであった」と述べ、参拝に含みを持たせた。一方で「日中関係は日本のとって最も重要な二国関係のひとつ。粘り強く中国との対話は続けながら、良好な関係に改善をしていく努力をしたい」とも述べており、硬軟両様で中国と接する姿勢を示した。

 金融市場では安倍総裁が日銀に強力な金融緩和を求めた結果として円安/株高が進み、「アベノミクス」ともてはやされている。しかし、ある外資系金融機関の関係者は「安倍氏の最大のテーマは憲法改正。金融緩和は財政バラマキの受け皿にすぎない」と言明。憲法改正などのタカ派路線こそが真骨頂とみている。

 安倍氏のアドバイザーの一人である静岡県立大学の本田悦朗教授は6日、ロイターとの取材で、安倍政権が誕生すれば「戦後レジームからの脱却が最重要」と述べ、「中国の拡張主義に対して、出ていくときは出ていくという歯止めも必要」と指摘している。

 とはいえ日本にとって中国は最大の貿易相手国。産業界からは「新政権は経済関係の改善を目指すバランスのとれた路線を取るだろう」(自動車業界幹部)と期待される。「来年7月の参院選までは景気浮揚のため外交面は安全運転を続ける」(経済官庁幹部)との読みもある。

 しかし、安倍氏が実際にどこまでタカ派姿勢を抑えるかは未知数だ。「中国は体制移行を契機に対日関係の改善を望んでいるかもしれないが、ここで日本側が強硬姿勢を示せば日中関係へのリスクが大きい」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との声も出ている。

 中国経済は11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が3カ月連続で改善するなど回復の兆しがうかがえる。しかし鉄鋼や化学など素材業種は過剰投資の反動で「明るい動きはない」(総合商社)。日本の対中輸出が改善するには自動車など最終消費財の販売がカギとなる。 

 9月には前年の半分程度に落ち込んでいた中国でのトヨタの新車販売が、11月は2割減まで減少幅が縮小するなど、中国での日本メーカーの販売は改善傾向にある。しかし、新政権から「日中関係が再度悪化するような発言などがあればリスク」(伊藤忠経済研究所の武田淳主任研究員)であるのは変わらない。中国向け自動車販売低迷が長期化すれば日本国内の輸出・生産を下押しするのは必至だ。

 (ロイターニュース 竹本能文;編集 橋本浩)

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