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UPDATE3: 住友化<4005.T>、サウジの「ラービグ」石化事業の拡張決定 総投資額70億ドル
2012年5月25日 / 07:13 / 5年前

UPDATE3: 住友化<4005.T>、サウジの「ラービグ」石化事業の拡張決定 総投資額70億ドル

*専門家のコメントなどを加えました。

 [東京 25日 ロイター] 住友化学(4005.T)は25日、サウジアラビア国営石油会社のサウジ・アラムコ[SDABO.UL]と共同で事業化調査を実施していた石油精製・石油化学事業「ラービグ」の拡張計画(第2期計画)の実施を決めたと発表した。両社が出資するラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニー(ペトロ・ラービグ)2380.SEが運営主体となり、総額約70億ドル(約5600億円)を投じる。石油化学製品の生産を拡大し、長期的に需要拡大が見込まれるアジア市場などへの展開を加速する。

 

 住友化学は日本の総合化学大手のなかでも海外進出を積極的に進めており、ラービグ拡張で海外の収益源をさらに強化する方針だが、プラントのトラブルなどで第1期からの本格的な収益貢献が遅れているほか、足元では需要減と原料高の影響で石化事業を取り巻く環境が悪化しており、今回の大型投資による収益への影響については不透明感も漂う。

 

 今回の拡張計画は、新たに確保する日量3000万立方フィートのエタンと年300万トンのナフサを主原料に、エチレンを作るためのエタンクラッカーを増設し、ベンゼンやパラキシレンなどの芳香族プラントを新設するもの。自動車部材などに使われる各種の石化製品を生産する計画で、2016年前半から順次稼働させる予定。最終決定には主体となるペトロ・ラービグの承認手続きが必要となるが、今後、EPC(設計・調達・建設)契約やプロジェクト・ファイナンスの確保などの作業を進める方針で「最長でも1年以内に全ての契約を完了させたい」(住友化学の石飛修副社長)という。

 住友化学とアラムコが1兆円を投じたラービグ第1期計画では、石油精製プラントと石化製品の生産設備を建設したが、第2期は石化製品の生産を増強するもので、完成すればラービグの石化製品の年間生産規模は現行の約240万トンから、約527万トンに倍増する。

 住友化学の石飛副社長は会見で「サウジは世界でもエタンが最も安く手に入るため、通常のナフサを原料とする場合に比べ、桁違いに安く生産できる。資源のない日本で石化事業を拡大するのはふさわしくなく、できる限り海外でやっていくというのが我々の戦略」と語った。

 <財務体質改善の目標は変更せず>

 住友化学によると、総投資額の約70億ドルについては、ペトロ・ラービグがプロジェクト・ファイナンスや増資などを通じて調達する可能性があり、仮に増資を決めた場合は、住友化学とアラムコがペトロ・ラービグへの現行の出資比率と同じ37.5%をそれぞれ出資する見通し。第1期ではプロジェクト・ファイナンスによる調達が約6割を占めた。

 住友化学は中期経営計画で財務体質の改善を課題に挙げ、負債の削減などに取り組んでいる。第2期の資金も第1期同様にプロジェクト・ファイナンスで半分程度を調達するとしても、住友化学が新たな財務負担を背負う可能性はあるが、石飛副社長は「財務体質改善に向けたロードマップには第2期計画は織り込んでおり、2015年に負債を9000億円に削減するとの計画に変わりはない」と語った。第2期計画による収益貢献予想については具体的な言及はなかった。

 

 <実施決定の遅れ>

 住友化学とアラムコによるラービグ拡張計画実施の決定は、当初の計画に比べ大幅に遅れた。ペトロ・ラービグを通じて紅海沿岸に建設した世界最大級の石油精製・石油化学プラントが稼働したのは2009年。同年4月には、両社がこれを拡張するラービグ第2期計画の事業化調査に乗り出すと発表した。調査は2010年第3・四半期に完了し、事業性が確認できた場合は、2014年第3・四半期までの操業開始をめどに、建設に着手する計画だった。

 石飛副社長は、決定の遅れの理由として欧州債務危機や円高進行など経済情勢の変化を挙げた。「ラービグへの投資は長期的なものだが、今後の経済情勢を見極めたいこともあり時間をかけてスタディーした」と説明した。また第1期で建設費の高騰や工事の遅延などを経験したため「経済情勢も踏まえ、できる限りコストを安くしたいと考えた。建設費をどこまで下げられるかについても分析した」と述べた。

 また、石化事業を取り巻く足元の環境については「今はどん底だが、シクリカルな産業であり、長期的には心配していない」と語った。欧州債務危機や中国の需要減退などについても「欧州市場がなくなるものではないし、中国も長期的に成長していく」と指摘した。

 複数の業界筋は今月初め、ロイターに対し、両社がラービグ拡張計画に関して、少なくとも2社のEPC業者に趣意書を出したことを明らかにしていた。住友化学も、アラムコと共同で、一部EPC業者に対し4月末から「最終交渉を実施する意向を示す文書を出した」ことを認め、一部関係者の間では第2期計画の判断が近いとの観測も浮上していた。

 FEアソシエイツのオイルエコノミスト、藤澤治氏は今回の決定について「米国ではシェールガスのおかげで石化産業復活の兆しがあり、競争力を取り戻すかもしれない。中国も今は輸入国だが、今後輸出国となって国際市場に出てくる可能性がある。その前にプロジェクトを進めた方がいいという判断だろう」と分析する。ただ「今後の需要動向は不透明で、設備過剰になるかもしれない」だけに、収益への影響は不透明との見解を示した。

(換算レートは1ドル=80円)

(ロイターニュース 大林優香;取材協力 前田りさ;編集 内田慎一)

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