December 21, 2012 / 5:41 AM / 7 years ago

再送:〔アングル〕家計純資産と政府債務の逆転が視野、国債安定消化の構図に揺らぎ

*見出しを修正します。

 [東京 21日 ロイター] 国債残高が膨れ上がる中で、国債の消化を家計の金融資産で賄ってきた構図に変化の兆しが出ている。日銀によると、家計の純金融資産と地方公共団体などを含む一般政府の債務残高の差額が9月末に22.4兆円と過去最小になり、逆転が視野に入った。

 日銀が21日に公表した7─9月期の資金循環統計によると、9月末の家計の金融資産から負債を差し引いた純金融資産は1155兆円。一方、一般政府の債務残高は1133兆円と過去最高を更新した。差額を9月末時点でみると2011年が34.1兆円、2010年が71.3兆円と、政府債務残高は着実に家計純資産残高に近づいている。家計の金融資産に大きな変動がみられない中、国債発行残高は着実に増加しており、逆転も時間の問題となっている。

 一般政府の債務残高が対国内総生産(GDP)比で200%を超える先進国で最悪の財政状況にもかかわらず、国債が安定的に消化され、金利が低位安定で推移している背景には、ほとんどを国内投資家が保有している構造や、経常黒字基調、世界的にも低い国民負担率に伴う将来の増税余地などさまざまな理由が指摘されている。家計の純金融資産と一般政府の負債残高の関係も、そのうちの1つの参考に過ぎない。

 もっとも、預金など家計の金融資産が金融機関を通じて国債投資に向かう構図が定着している中で、国債発行の増加に歯止めがかからない現状では、中長期的な国債消化への不透明感を強める一因になり得る。原子力発電所の運転停止による燃料輸入の増大などで貿易赤字が続く中、経常収支も悪化傾向。国債保有者のうちわけをみても、9月末に海外投資家の保有残高が86兆円、発行残高に占める比率は9.1%といずれも過去最高を更新。引き続き国内で90%超が保有されている構図に変わりはないものの、海外投資家が国債市場で着実に存在感を高めており、市場環境によっては波乱の芽になりかねない。

 先の衆院選で圧勝し、次期政権を担う自民党は、10兆円規模とみられる大型の2012年度補正予算の編成を打ち出しており、国債の追加発行も視野に入る。日銀は19─20日に開いた金融政策決定会合で、資産買入基金による国債(短期国債含む)の10兆円増額という追加金融緩和を決定した。日銀の累次の追加緩和による大量の国債購入は、市場に一定の安心感をもたらしている一方、白川方明総裁が会見で指摘したように、市場が財政ファイナンスと受けとめれば長期金利が上昇する危うさをはらむ。長期金利上昇で政府・日銀の政策効果が減殺されないよう、新政権には、成長戦略の実行による景気浮揚と財政規律維持の両立めざした経済・財政政策運営が求められる。

 (ロイターニュース 伊藤純夫 編集 橋本浩)

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