February 26, 2013 / 5:17 AM / 7 years ago

〔シナリオ〕米歳出強制削減、発動前・発動後に予想される展開

 [ワシントン 25日 ロイター] 米財政問題における当面の焦点である「歳出の強制削減」の発動期限が3月1日に迫った。歳出削減は、あたかも誰も阻止できないかのように、「強制的」と表現されている。しかし、歳出削減を阻止することは、理論上、依然として可能だ。

 それには抜本的な財政赤字の削減策で合意する必要があるが、オバマ大統領が歳出削減と富裕層増税を主張する一方、共和党は社会保障費を中心とした歳出カットによる赤字削減を要求。与野党の溝はなお深い。

 与野党双方にとって歳出削減発動に伴う政治的なリスクは高いが、実際にどの程度のリスクになるのか特定するのは難しい。国民は数週間、あるいは数カ月間は、歳出削減の影響を感じないかもしれないからだ。

 米歳出削減をめぐって、向こう週週間に想定される展開は次の通り。

 

 <3月1日まで数日間の駆け引き>

 

 歳出削減の発動期限である3月1日までの数日間、上院は歳出削減を回避するための努力を続ける見通し。2件の提案が出される公算だが、両方とも党派色が強く、可決に必要な票を得ることはできないだろう。

 民主党は、農業向け補助金の一部廃止、国防費の後年の小幅削減、富裕層増税を柱とする歳出削減回避策について、採決を要求する見通し。

 上院共和党はまだ、提案内容を公表していない。共和党が検討しているとされる策の1つは、歳出削減は実施するが、その実施においてオバマ政権に一段の柔軟性を与えるというもの。別の案は、歳出削減の代わりに、自然減を通じて連邦政府の職員を10%削減するというものだ。

 取りざたされている第3の案は、均衡財政を義務付ける憲法改正案について、採決を実施すること。しかし、たとえ議会を通過したとしても、十分な数の州が憲法改正に同意するまでに、何年もかかるだろう。

 一方、共和党が主導権を握る下院は、歳出削減の代替案を昨年すでに可決したとして、3月1日の発動期限まで静観を決め込むとみられる。

 

 <発動後は妥協案模索>

 

 上院で2提案の採決が終われば、議員らは妥協案を探ることになる。

 3月1日の歳出削減発動に際して、オバマ政権は、連邦政府職員に対して、一時帰休について30日前に事前通知する見通し。航空管制官や沿岸警備隊、空港の保安担当官、国立公園の管理者、食肉検査官、連邦捜査局(FBI)捜査官は勤務時間が減らされる見通しで、政府は、国民に多大な不便を強い、重要な政府サービスに影響が出るとしている。

 生活への影響について国民の不満が広がれば、与野党は、国民の怒りの矛先が相手に向くよう画策するだろう。そして、非難合戦の勝者が明らかになれば、負けたほうが、解決策を模索することになるだろう。

 

 3月27日、もしくは3月22日が、解決策を探る上で新たな期限となる可能性がある。3月27日は、暫定予算が失効する日。新たに予算が組まれなければ、政府機関の閉鎖という事態に直面することになる。

 政府機関閉鎖は、与野党の双方にとって当然、望ましくない展開だ。

 しかし与野党は、政府機関が閉鎖に追い込まれる可能性をちらつかせて、歳出強制削減や、より広範囲な財政赤字削減について、合意を取りまとめようとするかもしれない。合意には、上院が3月1日に向けて検討していた、増税や歳出カット案の一部が盛り込まれる可能性がある。

 ただ、本当の期限は、議会が春休みに入る3月22日かもしれない。休暇のスケジュールが狂うのを嫌う議員は、休会入り前に、暫定予算と歳出強制削減の両方について、合意を目指す可能性が高いとみられる。

 

 <歳出強制削減を再び延期も>

 

 歳出強制削減の影響としては、フライトの遅れや国立公園の開園時間短縮、国防総省の文官の一時帰休、医学研究費の削減、公立学校の予算削減などが予想されている。しかし、こうした影響が実際に出るには数週間、あるいは数カ月かかる可能性がある。もし、歳出強制削減が発動されて数週間がたっても、国民生活に目立った影響がなく、国民の不満もとくに高まらない場合には、先行きの見通しは変わる可能性がある。

 共和党は、歳出強制削減をこのまま続けることを主張するかもしれない。増税を伴わない歳出カットは、もともと共和党の持論だからだ。

 ただ民主党のみならず多くの共和党議員の間でも、何の柔軟性もない歳出強制削減はやり過ぎとの見方は強い。そのため、歳出強制削減を一時的に延期する方向で合意を探る可能性がある。議会は1月1日に可決した「財政の崖」回避法で、歳出強制削減の発動を一度延期している。

 

 <予算振り替えで対応も>

 

 ホワイトハウスおよび政府機関は、予算の小幅な振り替えを通じて、影響を最小限に抑えることも可能だ。そうすれば、歳出削減を秩序立って進めることができる。ただし、合意に向けて議会への圧力を維持したい政府は、予算振り替えの可能性について、表立っては触れていない。

 

 与野党の立場の違いはこの一点に集約される。つまり、民主党は財政赤字削減に向け富裕層増税を望み、共和党はその阻止を表明している。

 共和党は、社会保障給付やメディケアなど社会保障費を中心とする一段の歳出削減を求めているが、民主党はほとんど関心を示していない。

 合意への圧力が強まれば与野党それぞれの主張に沿った方向で小幅な措置がとられるかもしれないが、それも容易な道のりではないだろう。

 

 それに、今年の歳出強制削減問題が解決したとしても、すぐに次の歳出削減に対応しなければならない。というのも、歳出強制削減は1年限りのことではなく、合わせて1兆2000億ドルに及ぶ10年間のプログラムだからだ。より広範囲な財政赤字削減策で合意できなければ、議会はいずれ、来年の歳出強制削減の問題に直面することになるだろう。

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