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UPDATE2: インサイダー規制強化で最終報告、運用会社への課徴金は報酬3カ月分に引き上げ=金融庁
2012年12月25日 / 06:07 / 5年後

UPDATE2: インサイダー規制強化で最終報告、運用会社への課徴金は報酬3カ月分に引き上げ=金融庁

 [東京 25日 ロイター] インサイダー規制の見直しを議論している金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会は25日、運用業者による不正取引に対する課徴金額を運用報酬額の3カ月分に引き上げる金融庁案を盛り込んだ最終報告書を取りまとめた。証券会社による不正な情報伝達・取引推奨も処罰の対象とし、課徴金額は売買手数料の3カ月分とする。来年の通常国会に関連法令の改正案を提出し、14年度からの実施を目指す。

 課徴金制度は不当に得た利得相当額を計算の基準としているが、証券会社や運用業者は、不正を通じて営業・運用成績を引き上げれば、個別の取引で利益を得るだけでなく報酬の維持・増加にもつながる面があり、規制の強化に反映させる。

 インサイダー規制をめぐる一連の見直し議論では、情報を伝達しただけでは処罰されない情報伝達者への対応や、不正で得る利得に比べ著しく低額で抑止効果が期待しにくいとされた課徴金額の計算方法の見直しが焦点となった。たとえばエルピーダメモリの増資をめぐるジャパン・アドバイザリーの不正行為への証券取引等監視委員会の課徴金勧告額は12万円だったが、新たな計算方法では2380倍の2億8560万円になる。情報漏えいした証券会社への課徴金額は、数百万円から一千万円台程度になる見通しだという。

 金融庁幹部は「欧米の規制にそん色ない、国際的に整合性のある規制になる」と指摘。規制強化が健全な企業活動に悪影響を及ぼすとの懸念もあるが、経団連関係者は「妥当な範囲の取りまとめだ」と語っている。

 

 <不正な情報伝達・取引推奨は「取引させる目的」「実際の不正取引」を要件に>

 情報伝達については、インサイダー取引規制の対象である会社関係者による行為を対象にする。企業による増資などの未公表情報を特定の投資家に漏えいする行為と、未公表の情報があることをほのめかすなどの不正な取引推奨を新たに処罰の対象にする。

 この際、企業による業務提携交渉や投資家向け説明(IR活動)などの通常業務に支障が出ないよう配慮し、1)取引をさせる目的があったこと、2)不正な情報伝達・取引推奨が投資判断となって実際に不正取引が行われたこと──を要件とする。

 諸外国では、例えば米国は不正に情報を受領した側が不正取引をした場合に規制対象を限っている。独仏では不正取引の実行の有無にかかわらず規制対象としているが、制裁事例では不正取引があった場合に限られている。

 <証券会社の情報漏えい、課徴金額は売買手数料3カ月>

 情報伝達・取引推奨に対する課徴金額は「行為者が得られる利得相当のもの」とし、詳細な計算方法は今後詰める。このうち証券会社は「市場の門番」として公共性の高い役割を担うため、「責任が重い」(金融庁幹部)との位置づけ。証券会社の役職員による不正な情報伝達・取引推奨の場合、処罰対象をその証券会社とし、違反行為をした証券会社の役職員については、注意喚起のため氏名を公表する(補助的な役割の人物を除く)。課徴金額は機関投資家から継続的に得られる3カ月分の売買手数料とする。その証券会社が増資の売りさばき業務を手掛けた場合には、その引受手数料も含める。

 <運用会社のインサイダー取引、課徴金額を運用報酬3カ月に強化>

 不正取引に対する課徴金額の見直しでは、ヘッジファンドなどの運用業者が投資家の資金でインサイダー取引をした場合、運用報酬3カ月分を課徴金額とする計算方法に強化する。

 現行規制では、違反行為があった月にその運用業者が受け取る報酬額のうち、不正取引をした銘柄の割合に基づいて課徴金額を計算している。このため、課徴金額が著しく小額となり抑止効果を期待しにくいとの指摘があった。

 運用業者についても、証券会社などに未公表情報の伝達を要求した上でインサイダー取引をする悪質な行為があった場合には、中心的な役割を果たした人物の氏名を公表する。これ以外にも、インサイダー取引などの不正行為を反復した人物についても、個人名を公表するとした。

 今後の課題として、金融業界に対して情報管理体制の点検・改善への取り組み継続や業界団体による自主規制の強化、取引所にはスクープ報道があった場合のより踏み込んだ情報開示のあり方の検討などを求めた。また、不当に得た利得相当額を基準とする現行の課徴金制度のあり方も、あらためて検討する必要があるとした。

 このほか最終報告では、規制強化の一方、実務上の観点から不都合が生じていた面での規制緩和も盛り込んだ。

 2008─09年に日本企業で行われた公募増資をめぐっては、主幹事証券会社から事前に増資情報が漏れ、運用会社でインサイダー取引が行われる事案が相次いだ。現行規制では情報を伝達しただけでは処罰されず、抑止効果を期待しにくいなどの問題点が指摘されたため、金融相の諮問に基づき7月以降、作業部会がインサイダー規制の見直しを進めていた。

 

 (ロイターニュース 平田紀之)

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