October 30, 2012 / 8:14 AM / 6 years ago

〔焦点〕次期インド首相候補として頭角現すグジャラート州首相、過去の宗教暴動で傷も

 [アーメダバード/アリナ(インド) 29日 ロイター] 多くのインド国民にとって、インド西部グジャラート州のナレンドラ・モディ首相(62歳)は「時の人」となっている。2014年に予定されている総選挙で、マンモハン・シン首相を倒す可能性のある野党インド人民党(BJP)の有力政治家として、にわかに注目が集まっている。

 グジャラート州をインドで最も高い成長を遂げている州の一つに躍進させた立役者として高く評価されていることがその理由だが、一方では、10年前にヒンズー教徒が多数のイスラム教徒を虐殺した宗教暴動を阻止しなかったとして批判されている人物でもある。

 モディ首相は12月に行われるグジャラート州の選挙で勝利し、4期目を務めると予想されているが、同州の選挙で大勝すれば、2014年の国政選挙でマンモハン・シン首相の有力な対抗馬になるとみられている。

 モディ首相が今月、選挙運動のため村々を訪れた際は熱狂的な群衆に取り囲まれ、「現人神」と称えられている彼を一目見ようと、行く先々で多くの人々が集まった。

 バスの中でインタビューに応じたモディ氏は「これだけ多くの人が集まっているのをご覧なさい」と自慢げに語った。各地では人々がモディ氏を見るため屋根に上り、盛んに手を振る姿が見られた。

 しかし、インド国内の多くの地域や海外では、モディ氏は2002年にグジャラート州で起きた宗教暴動と結びついた形で記憶されている。当局の発表では、暴動ではイスラム教徒を中心に1000人以上が死亡したとされているが、NGOや他のグループは、死者は2000人に達したと主張している。

 その結果、モディ政権は「犯罪政権」とみなされ、西側諸国から全く相手にされてこなかった。

 だが、そうした政治的な逆風とは裏腹に、汚職や官僚的体質が蔓延しているインドにおいてグジャラート州は効率的な行政機構を築き上げ、米フォード(F.N)など多くの西側企業から、投資先として熱い注目を集めるようになった。

 モディ首相の大きな影響力を裏づけるかのごとく、英国の駐インド大使が先週グジャラート州を訪問し、モディ首相と会談。それはモディ首相にとって、インドの政治リーダーの一人として認知される上で大きな前進となった。

 米政府は2005年にモディ首相が申請した旅行ビザの支給を拒否したが、今年になって米国のムンバイ総領事が公の場でモディ首相と同席。米国とモディ首相の和解を示す兆しとして注目された。

 モディ首相の将来は、グジャラート州の好調な経済を持続させ、多くのインド国民、特にイスラム教徒の不信感を払しょくできるかどうかにかかっている。

 政治アナリストのParanjoy Guha Thakurta氏は「モディ氏はインドの企業家らの大きな期待を集める可能性があり、彼らがインドの首相になってほしいと公言する唯一の人物だ」としながらも、「モディ氏はイメージを改めるためあらゆる手を尽くしているが、イスラム教徒を攻撃の標的とし、虐殺した時代の記憶を拭い去ることはできないだろう」と語っている。

 本人は強く否定しているものの、2002年の暴動の際、モディ首相はイスラム教徒虐殺を止めようとせず、むしろ密かに暴動を煽っていたと非難されている。

 当時、モディ政権の閣僚だったMaya Kodnani氏は、ヒンズー教徒に凶器を渡し、イスラム教徒攻撃をそそのかしたとして、禁固28年の刑を受けている。

 <恨み忘れぬ性格>

 モディ政権の当局者や現地の企業関係者はモディ首相の人物像について、記憶力が優れ、細かなことまで関心を示し、比類ないほどのエネルギーや説得力を持っていると表現する。しかし、その一方で、復讐心が強く、いつまでも恨みを忘れず、反対派を容赦しない人物だと説明している。

 匿名を条件にインタビューに応じたある政府関係者は「もしあなたがモディ首相から嫌われていれば、あなたの未来はないだろう」と語った。

 モディ首相はグジャラート州北部の中流下位の家庭に生まれ、若いころは家族で切り盛りしているお茶の屋台で働いていたとされている。その後、ヒマラヤの山地を「神を求めて」放浪した後、現在の国政野党であるインド人民党(BJP)の理論的親団体であるヒンズー至上主義組織「Rashtriya Swayamsevak Sangh(民族奉仕団)」で頭角を現した。

 また、彼は禁欲的な生活スタイルやヨガ愛好者としても知られている。

 現地メディアによると、若い時に結婚歴があるとされているが、本人はそれを認めていない。

 <2ケタの経済成長>

 

 インドの政界でモディ首相に対する評価は日増しに高まっており、野党のインド人民党にとって、2014年の国政総選挙で与党の国民会議派を打倒する切り札となる可能性がある。

 モディ首相はロイターとのインタビューで「グジャラート州は自分が努力しなくとも投資家の信頼感を獲得できる状態になった。われわれの州は国内ばかりでなく、世界的にも大きな信頼感を勝ち得ている」と語った。

 実際、インド経済が急速に鈍化しているにもかかわらず、グジャラート州は2ケタの成長を遂げている。インドの大半の地域を苦しめている恒常的な電力不足も、グジャラート州では無縁だ。

 企業関係者は、モディ首相によってグジャラート州でのビジネスがスムーズに進むようになったと評価している。同州では、工場建設のための土地取得が順調に進むほか、インドの他の州で見られがちな官僚主義的対応による遅れが比較的少ないという。

 ティーグループを運営するWagh Bakriのマネジングディレクター、ラセシュ・デサイ氏は、モディ政権は工場拡大の申請を迅速に承認してくれたと指摘、「モディ首相に朝6時に会い、夜11時に再び会っても、全く同じ様子でいる。彼は疲れを知らないようだ」と語っている。

 もっとも、グジャラート州は以前からインド経済の牽引役を果たしてきたとして、同州の経済的成功はモディ首相の手柄ではないと指摘する向きもある。

 ただ、モディ首相を批判する人々ですら、グジャラート州に新規事業を勧誘し、大企業を誘致するため2年ごとに投資家向け会合を開いてきた首相の姿勢は評価に値するとしている。

 *グジャラート州の経済データ:link.reuters.com/wuq53t

(Matthias Williams、Annie Banerji 記者;翻訳 長谷部正敬)

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