March 22, 2012 / 7:58 AM / 7 years ago

公示地価は4年連続下落、三大都市圏・地方圏ともに下落率縮小=国交省

 [東京 22日 ロイター] 国土交通省が22日発表した2012年1月1日時点の公示地価は、全国平均(全用途)で前年比マイナス2.6%と4年連続で下落したが、下落率は11年の3.0%に比べ縮小した。08年秋のリーマン・ショック以降、地価の下落が継続しているものの、東京、大阪、名古屋の三大都市圏と地方圏でそろってマイナス幅が縮小しており、国交省では「地価の回復がみえてきた」と分析している。ただ、円高や欧州債務危機などの先行き次第で、地価が影響を受ける可能性もあると指摘している。

 

 東日本大震災の影響については、不動産市場全体が一時的に停滞したものの、被災地を除けば、比較的早期に回復傾向を示した。国交省は「全体的には震災の影響は薄れていく傾向にあり、特に西日本は地価の回復基調が続くのではないか」とみている。被災地では、原発事故の影響を受けた福島県で地価の下落率が拡大したが、岩手県や宮城県では、被害が大きかった地区で地価が下がる一方、津波を免れた高台などでは被災住民の移転需要で地価が上がり、「二極化」がみられた。 

 

 <名古屋は底打ち>

 

 公示地価を用途別にみると、住宅地が前年比マイナス2.3%(前年はマイナス2.7%)、商業地がマイナス3.1%(同マイナス3.8%)とそれぞれ下落率が縮小した。住宅地は、低金利や住宅ローン減税などによる住宅需要が下支えした。特に、愛知県など人口が増加した地域では下落率が小幅にとどまり、また、住環境が良好な地点や交通の利便性が高い地点で地価の回復が目立った。

 商業地もマイナス幅は縮小したが、オフィス系は高い空室率と賃料下落が続いたうえ、物販や飲食など店舗系も販売不振で、全般的に需要は弱かった。ただ、東京都の丸の内や大手町、大阪駅や名古屋駅の周辺など主要都市の中心部では、賃料の引き下げが進んだことに加え、BCP(事業継続計画)やコスト削減のために耐震性に優れた新築・大規模オフィスへ業務機能を集約させる動きが増え、年後半には地価が下げ止まった。

 また、三大都市圏と一部地方圏では、J─REITによる積極的な不動産投資が相次いだほか、堅調な住宅需要を背景に商業地をマンション用地に転用する動きが全国でみられたという。

 

 三大都市圏の公示価格(全用途)はマイナス1.5%となり、地方圏(マイナス3.6%)に比べ下落率が小さかった。三大都市圏で地価が上昇に転じた地点数は東京が93(前年は81)、大阪が166(8)、名古屋が154(82)で、大阪と名古屋が東京を上回った。地方圏でも上昇に転じた地点数は133と前年(22)より増えた。国交省は地価動向について「名古屋はほぼ底打ちしている。東京や大阪も昨年後半には下落率が縮小し、かなり地価の回復がみえてきた」と指摘する。

 三大都市圏のなかでは、東京圏がマイナス1.7%(前年はマイナス1.9%)、大阪圏がマイナス1.5%(同マイナス2.7%)、名古屋圏がマイナス0.6%(同マイナス0.8%)で、昨年と同様に名古屋圏の下落率が最も小さかった。

 

 三大都市圏の商業地は前年比マイナス1.6%(前年はマイナス2.5%)、住宅地はマイナス1.3%(同マイナス1.8%)といずれも4年連続で下落したが、下落率は2年連続で縮小。地方圏では、商業地がマイナス4.3%(同マイナス4.8%)、住宅地がマイナス3.3%(同マイナス3.6%)といずれも20年連続の下落となったが、下落率は2年連続で縮小した。

 

 <被災地の地価は二極化、福島は下落地点多く>

 

 震災で被災した地域では、被害の大きさや被災者の移転需要などにより二極化した。岩手県や宮城県で津波被害が大きかった地域では、地価が10%以上落ちた地点があったが、宮城県の一部地域では、浸水を免れた高台の住宅地や被害が軽微だった地区で被災者の移転需要が高まり、地価が急上昇した地点もあった。岩手県は地価の下落率が前年と同程度だったが、福島県は前年より拡大した。

 福島県では調査を継続した416地点のうち、地価下落率が前年より縮小したのは9地点のみで「原発事故を含む震災影響をかなり受けた」(国交省担当者)。今後の地価動向は「警戒区域などに対する政府の対応や除染のスピード次第」(同担当者)とみられている。

 

 地価公示は多数の土地取引が行われる地域で価格の指標を与えることなどを目的としており、今回調査では、津波で甚大な被害を受けた地域や原子力災害対策特別措置法により設定された警戒区域などにある調査地点で、場所を変更(選定替え)、または、調査を休止した。

 被災した岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県のなかで、津波で浸水したのは計99地点で、このうち47地点を選定替えし、52地点で調査を継続した。福島県の原発事故に伴う警戒区域等は計23地点で、このうち17地点で調査を休止した。

 

 また、震災に伴い液状化の被害を受けた地域で地価の下落が目立った。千葉県では浦安市が前年比マイナス7.5%(前年はプラス1.1%)、千葉市美浜区がマイナス7.3%(前年はマイナス0.8%)となった。 

  

 <最高値の商業地は丸ビルと山野楽器銀座本店>

 

 震災は全国の地価変動率ランキングにも影響を及ぼした。全国の住宅地で上昇率が最も高かったのは、宮城県石巻市須江字しらさぎ台1丁目3番で60.7%。移転需要の高まりを背景に、上位10地点のなかで9地点を宮城県が占めた。国交省担当者によると「石巻市や気仙沼市では震災前に区画整理され、在庫となっていた500万円以下の土地の需要が急速に高まった」という。

 一方、商業地の上昇率トップは、東京都足立区千住旭町45番のツボイビルで7.3%。上位10地点のなかで東京都はこの1地点のみで、残りは愛知県が5地点、福岡県が4地点だった。

 住宅地で下げ幅が最大だったのは、宮城県気仙沼市南郷11番で18.3%のマイナス。商業地の下落率トップは北海道留萌市錦町3丁目41番の19.6%。

 

 公示地価が全国で最も高かった商業地は、東京都千代田区丸の内2丁目2番の丸の内ビルディングと東京都中央区銀座4丁目2番の山野楽器銀座本店の2地点。ともに1平方メートル当たりの価格が2700万円だった。丸ビルは前年2位、山野楽器は前年まで5年連続でトップだった。価格の変動率は丸ビルがマイナス1.8%、山野楽器がマイナス2.2%。国交省担当者によると「オフィス系では丸の内が、店舗系では銀座の需要が引き続き根強いことが示された」という。

 全国で最も高い住宅地は、東京都千代田区六番町6番で価格は同278万円。前年まで15年連続でトップだった千代田区五番町は、マンションの建て替えで商業店舗付きマンションに変わるため、住宅地としては不適当とみなし、近隣で同じような環境や価格帯の場所を選定したという。

 

 12年公示地価は1970年の第1回公示以来、43回目。全国の標準地2万6000地点を不動産鑑定士2706人が鑑定し、土地鑑定委員会が審査した。

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