[ワシントン 6日 ロイター] - トランプ米大統領が中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)000063.SZに対する制裁の解除に傾くなか、与野党からは強い反発の声が上がっているが、解除阻止に向けて議会が取り得る方策はほとんどないというのが実情だ。
米商務省は4月、北朝鮮とイランに対する禁輸措置にZTEが違反した問題を巡る米国との和解条件に同社が従わなかったとして、米企業がZTEに部品などを輸出することを7年間禁じる制裁を発動。これを受けZTEは主要業務の停止に追い込まれた。
与党共和党と野党民主党の議員らはともに、ZTEを国家安全保障に対する脅威と見なしており、同社製品が米企業の知的財産権の侵害につながることを恐れている。
民主党の上院トップ、シューマー院内総務は6日、「米国防・法執行当局は、ZTEの技術が国家安全保障への脅威だとしている。一体どうしてトランプ政権はそのような悪い企業に対する制裁の解除を検討しているのか」と疑問を呈した。
議会では主要法案の改正を通じてZTEに制限を加える取り組みが進められてきた。たとえば、国防権限法(NDAA)案には、国防総省に対しZTEなど中国企業の通信機器やサービスを利用するいかなる団体との関与も禁じる項目が盛り込まれた。
ただ、これらは限定的な効果しかなく、トランプ大統領が制裁解除を決めることを阻止できるわけではない。
議会は連邦予算を決定する権限を有しているため、ZTE制裁解除への予算割り当てを阻止することはできる。ただ、大統領与党である共和党は上下院の過半数を握っており、ホワイトハウスが反対する法案を通す可能性は低い。
民主党はZTEによる安全保障への脅威に関して国土安全保障省にさらなる情報提供を義務付ける決議案を議会に提出したが、下院国土安全保障委員会で6日、否決された。
ZTEの存続問題は、米中の閣僚級通商協議で取り上げられてきた。
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