為替こうみる:諸通貨での円売りが対ドルに波及、円全面安に=三井住友銀行 宇野氏
最近の外為市場では、ユーロ/円や豪ドル/円が2年2カ月ぶり高値、英ポンド/円が1年2カ月ぶりの高値を付ける中で、ドルと円が共に弱く、ドル/円の値幅は限定されていた。
最近の外為市場では、ユーロ/円や豪ドル/円が2年2カ月ぶり高値、英ポンド/円が1年2カ月ぶりの高値を付ける中で、ドルと円が共に弱く、ドル/円の値幅は限定されていた。
ドル/円が4カ月ぶりに106円台へ乗せたことについては、米長期金利が1年ぶりの高水準まで上昇したことによって日米金利差拡大が意識された面が大きいとみている。
今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、景気の先行きについて以前より一段と悲観的な認識が示された。前日の海外市場でVIX指数(恐怖指数)が急上昇したのも、そうした認識と無関係ではないだろう。
ねじれ議会を想定していた市場参加者も多いだけに、今回の「トリプルブルー」はサプライズ。米国の経済政策の転換点になるのではないか。バイデン政権が大規模な財政出動を行い国債が増発されるとの見方から、金利が急騰している。ただ、金利上昇が止まらなければ、景気や株式市場へ大きな影響が出てくる可能性も高い。
金融市場では、目新しい材料が乏しい中で、株買い、ユーロ買い、ドル売りが定番となっており、投機的なモメンタムに引きずられた「モメンタム相場」が展開している。
新型コロナウイルスワクチンの実用化に対する期待、米追加経済対策が合意されることへの期待、英国の欧州連合(EU)離脱がスムーズに進むことへの期待などあらゆる希望的観測を背景に、株高やビットコイン高が進み、その裏で「リスクオンのドル売り」の流れが形成されている。
為替市場では、株高を背景とするリスクオン地合いのなか、ドルと円が同時に売られ、ドル/円は方向感に乏しい値動きとなっている。一方、クロス円は堅調で円安傾向が目立ち、足元では円が最弱通貨となっている。
この1週間、世界の金融市場の鍵を握ったのは米大統領選だ。接戦の末にようやくバイデン氏の勝利が明らかとなるなか、主要株式指数は大きく上昇した。
米選挙期間を通じた米国の株高やドル安は結局のところ、米国の過剰流動性がもたらしたものだと見ている。当初は民主党政権なら増税で株安との見方が多かったものの、実際にそうはならなかった。カネ余りの下、株式と金利収入が得られる債券は買いたい、というニーズは小さくなかったのだろう。
米大統領選挙の結果はまだ確定していないが、重要なことは上院を共和党、下院を民主党が制した可能性が高いことだ。大統領と議会とのねじれが解消する可能性が後退した。