日銀バランスシート、必ずしも正常ではないが当面は仕方ない=植田総裁
日銀の植田和男総裁は25日、参院財政金融委員会で、大規模な金融緩和で膨らんだ日銀のバランスシートについて「必ずしも正常な中央銀行のバランスシートではない」と述べた。特に国債は定量的な大きさの問題、ETF(上場投資信託)は持っていてよいのかという質的な問題があるとの認識を示した。現状は2%の物価目標を実現していない状況のため、その間はこうした状態が続くのは「仕方ない」との見方を示した。
日銀の植田和男総裁は25日、参院財政金融委員会で、大規模な金融緩和で膨らんだ日銀のバランスシートについて「必ずしも正常な中央銀行のバランスシートではない」と述べた。特に国債は定量的な大きさの問題、ETF(上場投資信託)は持っていてよいのかという質的な問題があるとの認識を示した。現状は2%の物価目標を実現していない状況のため、その間はこうした状態が続くのは「仕方ない」との見方を示した。
第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、ロイターのインタビューに応じ、賃金上昇・設備投資増・株高で「30年ぶりの好循環の兆し」が出てきていると述べた。第2次安倍晋三政権下の2014年、消費税率を引き上げて経済の好循環が腰折れになった「同じ失敗をしてほしくない」と語り、財政政策・金融政策ともに拙速に正常化に向かうべきではないと強調した。
日銀が23日に発表した4月の物価の基調を示す指標によると、値上げが幅広い品目に及ぶ中、品目別分布で最も頻度の多い上昇率である「最頻値」が前年同月比プラス2.8%となり2001年以降で最高の伸び率を更新するなど、3つの指標がいずれも前月を上回った。下落品目の比率は9.2%で、01年以降で初めて10%を割り込んだ。
東京株式市場で日経平均は、前営業日比278円47銭高の3万1086円82銭と、8日続伸して取引を終えた。海外勢の日本株買い意欲は強く、半導体関連の一角や主力銘柄が買われ日経平均は節目の3万1000円台まで上昇、連日のバブル後高値を付けた。
今週の外為市場で、ドルは底堅い推移が予想されている。米国の経済指標を見極めながら金融政策の道筋を探るとみられ、追加利上げ観測が高まれば、ドルは節目の140円を試す動きとなる可能性もある。
[東京 19日] - 海外投資家による積極的な日本株投資を背景に、4月以降、日本の株価は他国を大きくアウトパフォームしている。海外投資家は4月に5兆円も日本株を買い越し、5月前半の2週間でさらに1.2兆円を追加で買い越している。
日銀の植田和男総裁は19日、内外情勢調査会・全国懇談会で講演し、拙速な政策転換により、ようやく見えてきた2%の物価目標達成の「芽」を摘んでしまう場合のコストは「極めて大きい」と述べた。海外経済などの不確実性が高い中、粘り強く金融緩和を継続する方針を強調し、出口に向けた金融緩和の修正は「時間をかけて判断していくことが適当だ」と語った。
来週の外為市場で、ドルは堅調な推移が予想されている。米国の経済指標を見極めながら金融政策の道筋を探るとみられ、追加利上げ観測が高まれば、ドルは節目の140円を試す動きが出やすい。一方、米債務上限問題の行方次第では波乱含みとなる可能性がある。5月の東京都区部消費者物価指数が上振れた場合は、6月の日銀金融政策会合に向けて政策修正を巡る思惑が強まり、ドルの上値を抑える要因となりそうだ。
午前の東京株式市場で日経平均株価がバブル後高値を更新し1990年8月以来33年ぶり水準に上昇した。海外勢の日本株買いのモメンタム継続が意識される中、米国の債務上限問題への過度な警戒感が後退したほか、為替の円安が進んで株価が押し上げられた。
日銀の植田和男総裁は19日、衆院財務金融委員会で、米国の債務上限問題について、仮に米国債がデフォルトとなれば「甚大な影響が世界経済に及ぶ」と述べた。植田総裁は金融市場の安定に努めると強調、金融機関が日銀に差し出す担保の状況は確認しており、「いざという時の資金供給に問題はない」と語った。