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September 4, 2018 / 2:27 AM / 9 months ago

「F1は男の世界」は過去の話か

F1は男らしいスポーツとしてのイメージを保ってきた。しかし、ファンを含めた女性の増加で、その先入観は崩れてきている。そしてついに、この男性優位社会の変革が始まった。

今年1月、F1のオーナー、リバティメディアは、レースクイーン制度を廃止すると宣言した。

一方で、あまり表面化はしていないものの、すでにこの数年で、女性たちがF1の様々な分野に進出を果たしてきている。

「その傾向はますます強まっています」F1チーム、フォースインディアのストラテジスト、バーナデット・コリンズは語る。

「コース上ではお目にかかれないかもしれませんが、工場ではデザインや、空気力学、ソフトウェアを担当する女性はどんどん増えています」

従来の「典型的な」女性の職業だった接客や、広報、マーケティングではなく、エンジニアリング、デザイン、さらにはチームリーダーのような、より男性優位と考えられていた領域に踏み込み、新たな可能性を切り開く先駆的女性たち。コリンズは間違いなくその一人だ。

男女比率は依然として極めてアンバランスだが、変化は確実に訪れている。

コリンズの少女時代には、テレビに映るのはドライバーばかりだった。その後、ピットウォールのエンジニアや、ガレージのメカニックが画面に登場するようになってきた。

現在では、ピットウォールでコリンズやその他女性たちが、テロップで紹介される映像を見ることも珍しくなくなった。

「そうしたことで、面白そうだしやってみたいなと思ってくれる女子も出てくるでしょう」

 

イギリスに本拠地を置くレーシング・チーム、ウィリアムズF1のチーム代表、クレア・ウィリアムズ。メルボルンのアルバート・パークサーキットで行われたオーストラリアグランプリの練習走行でファンと記念撮影をする。(2015年3月14日)写真:REUTERS/Mark Dadswell

より多くの女子に、モータースポーツに興味を持ってもらうことは、F1への女性参加を促す鍵だが、それは最も難しいことでもある。性別の偏見は、F1の内部よりも、外部に存在するのだ。

「かなりおかしな話です。私は考えたこともありません」とウィリアムズF1の副代表、クレア・ウィリアムズはF1の公式ホームページで語った。(here

「私はF1の中で育ったので、これまでずっと男性に囲まれていました。だからそんなことは考えたこともありません。女性であるかどうかは無関係です」

コリンズもウィリアムズの意見に同調した。

それでも、F1の外からの偏見は取り除かれなければならない。

普通、女子は興味を膨らます機会すら得られず、モータースポーツから遠ざけられる。男子の領分という先入観のためである。

その中で、少女がモータースポーツに触れる機会を増やそうという試みも始まっている。

スージー・ウォルフらによりはじめられた「デア・トゥ・ビー・ディファレント(Dare to be Different)」というキャンペーンはその1つである。彼女はメルセデスF1チームのCEO、トト・ウォルフの妻で、元レーサーだ。

現在、キャンペーンは第3期に入っていて、一年を通じて、イギリスから、現在ではドイツ、オーストラリアへと場所を移しながら、少女たちがいままで知らなかったモータースポーツの側面に触れる機会を作るプログラムが実施されている。

具体的には、ゴーカート、栄養学、フィットネスや反射テスト、エンジニアリングへの挑戦や、さらにはジャーナリストによるメディアトレーニング学習までを網羅している。

「チャンスはそこにあるのです。女性の人材に気づきを与え、いつかF1がより多様性を受け入れるようにしてもらいたいと思っています」とはウォルフのDare to be Differentのホームページでの言葉だ。

 

F1イギリスグランプリ2015(シルバーストーン)。練習中のウイリアムズのテストドライバー、スージー・ウルフ。(2015年7月3日)写真: Reuters / Paul Childs

一方で、モータースポーツを統括する国際自動車連盟(FIA)は、独自路線を展開している。

元ラリードライバー、ミシェル・ムートンが代表を務める、Women in Motorsport Commissionは、「Girls on Track」キャンペーンの一環で、女子用のカートスラロームシリーズを開催している。

今年5月にポルトで第1回が開催され、130人の参加者が集まった。

結局、最もモータースポーツに女子を引き付けるのは、コースでの喜びを知ることなのだろう。

F1に最後に女性ドライバーが走ってからもう数十年が経つ。イタリア人ドライバー、ジョバンナ・アマティが1992年に参戦し、予選突破を目指したのが最後だ。

グランプリ・ウィークエンドに関しては、ウォルフが最後に2015年イギリスグランプリの金曜の練習走行で走って以降、女性の挑戦者はいない。

「女性F1レーサーが登場すれば、素晴らしいことになるでしょう。世界中の注目がF1に集まります」と語るのはコロンビア人レーサー、タチアナ・カルデロンだ。彼女はF1のサポートレース、GP3に参戦しており、F1チーム、ザウバーのテストドライバーも務める。

「女子のカート挑戦も促されるでしょう」

モータースポーツ文化が深く根差していないシンガポールやアジアでは、レースに女性関係者を増やすのはより困難だ。

 

F1シンガポールグランプリ2017。レース前のレースクイーン。(2017年9月17日)写真:REUTERS/Jeremy Lee - RC13A4310B20

それでも、少女たちが目標とできる女性たちがいる。

例えば、ジャネット・タン。彼女はシンガポールグランプリのレース運営部門のシニアマネージャーであり、初戦の2008年からレースに係っている。

タンのチームは、1,000人のボランティアレースオフィシャルと、レースマーシャル(コース係員)を担当している。このボランティアの協力なしでは、シンガポールグランプリの安全な運営は望めない。

彼女はまた、グランプリ・ウィークエンドのサポートレースの競技長も務め、F1セッションでは副競技長も務める。

「一日として同じ日はありません。年間を通じた各種イベントに応じてスケジュールは変化するのです」一児の母であり、FIAでシンガポール代表を務めるタンの、今年初めのグランプリ公式ホームページでの発言だ。(here

「レース運営チームは、2月から12月まで、各種の地域モータースポーツを開催します」

「3月にレースオフィシャルを採用して、5月から9月のレース・ウィークエンドまで、論理的な訓練セッションを実施します」

「レース・ウィークエンドの準備もします。マーシャル用の、食事、飲み物、日焼け止め、手袋のような必需品、さらにはチルトトレイを含むレース用のロジスティック設備、クレーン、医療サービスまでを6月までに準備します」

クレア・ジェドレックも、シンガポールの少女たちのロールモデルとなり得る女性だ。

彼女は、レースドライバーとコメンテーターの二足の草鞋を履いていて、シンガポールグランプリでは毎回司会を務める。

彼女と、また自身もレースドライバーである彼女の夫は、ゴーカート場を運営し、地域の学校のためのプログラムを実施している。

彼女は言う。「私は無宗教ですが、選ぶとすればモータースポーツが宗教でしょうね。自分の脳の働きの新しい一面を教えてくれたのですから」

「ポジティブシンキングと決して諦めない気持ちを教えてくれたもの、それが私にとってのモータースポーツです」

結果として、道のりは長いが、変化は確実に起きている。

カルデロンは言う。「徐々に誰もが、能力のある個人と認められつつあるのだと思います」

「男性に交じってレースを走る唯一の女性としてどのような気分かを聞かれることがなくなる日が来ることを、私は待ち望んでいます」

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