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June 20, 2018 / 7:38 AM / 9 months ago

F1は電気自動車で未来に走るか

2018年のシーズン開幕直前に、フォーミュラ1(以下、F1)名誉会長バーニー・エクレストン氏は、同モータースポーツの経営権を持つリバティ・メディア社に現状の大幅な転換、即ち将来的な電気自動車の受け入れを促した。

ソチで開催されるロシアF1グランプリを前に、パドックエリアでメデイアに語りかけるフォーミュラーワン・グループ名誉会長・バーニー・エクレストン氏。2015年10月9日 写真:REUTERS/Maxim Shemetov

2017年初頭にリバティ・メディア社が80億ドルの買収を成立させて以来、F1は岐路に立たされている。

リバティ・メディア社は、ミレニアル世代への訴求力を高めることで観客層を広げることを優先課題としている。この世代はこれまでにも増して環境への関心が高く、企業の持続可能性を後押ししている。

イギリスF1グランプリ2017、フェラーリガレージ内にて。フォーミュラワン・グループ・モータースポーツ担当マネージングディレクターのロス・ブラウン氏。2017年7月13日 写真:REUTERS/Andrew Boyers

さらに、自動車産業におけるイノベーションの方向性は、ますます電気自動車に向けられている。F1モータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウン氏は、2017年のカナダGPにおいて、このことについて懸念を表明している。「現在自動車産業が、燃料電池車、電気自動車、自動運転等、F1と異なる方向に向いている。その中で我々はどのような将来性を見出すべきか」ジル・ヴィルヌーブ・サーキットでの記者会見における発言だ。

2014年以降、程度は様々だが、持続可能性を模索するF1チームのオーナーがいくつか出現し、その試みは世界初の電気自動車によるレースシリーズであるフォーミュラEに結実した。

ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング社は、フォーミュラEの創設以来、レース車両の動力となるバッテリーシステムを提供している。マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ社は現在、パワートレインや電子部品を提供しているが、2018年~2019年からはバッテリーも手掛ける。ルノー社は、フォーミュラEチャンピオンシップにレーシングチームとして参戦を果たした。さらに2019~2020年のシーズンからは、F1での好敵手であったメルセデス社も参入予定である。

こうした中、2017年6月、国際自動車連盟(以下、FIA)のジャン・トッド会長が、カナダのオンライン新聞ラ・プレッセに対し、F1がそのルーツである化石燃料を放棄することはないと語った。F1への電気自動車導入に関するいかなる提案にも冷や水を浴びせるような発言だ。

この発言の裏には、既にF1チームがハイブリッドエンジンの大幅なエネルギー効率向上を実現しているという事実があるとも考えられる。メルセデス社は、通常の電気自動車よりも確実に高エネルギー効率を誇るレーシングエンジンを開発して、この流れを牽引している。

このように、メルセデス社のハイブリッドにおける躍進が、現在のF1チームの完全な電気自動車への移行に対する防波堤となる一方で、既に開発の波は押し寄せてきている。

現在、F1レースの走行距離300キロメートルに対応可能なバッテリーを搭載し、F1カー並みに強力な電気スーパーカーの生産に従事する自動車メーカーが各種存在する。テスラ社はその代表と言えるだろう。

シンガポールGPの開催地であるシンガポールでは、ヴァンダ・エレクトリクス社が、ウィリアムズF1と組んでヴァンダ・デンドロビウムを開発した。最高時速320キロ、0-100km/h加速2.7秒を誇る世界初のバッテリー駆動スーパーカーだ。

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なお、ヴァンダ・エレクトリクス社は自動車専門ではなく、革新的なバッテリー技術や、電動式移動手段を専門とするメーカーである。同社CEOのラリッサ・タン氏は、ウィリアムズとのパートナーシップを通じて、従来の型にはまるのではなく、デザインやエンジニアリングの可能性を広げて電気自動車の未来を切り開いていると語っている。

「ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングは、最高峰の自動車エンジニアリングを誇ります。同社のF1に対する豊富なノウハウ、フォーミュラEへの関与は、我々の描くヴァンダ・デンドロビウムに対するビジョンに一致していました。同社も我々に負けないほどの情熱をデンドロビウムに注いでくれたのです。我々2社によるこの共同プロジェクトは非常に順調に進みました」

自動車技術の急速な進歩により、最終的にF1が電気自動車によるレースを完全に受け入れる日が来るかもしれない。ただし、このようなイノベーションは、フルスロットル時のエンジンの轟音というF1レースに不可欠な要素に対するファンの期待とは折り合わないかもしれない。事実、2014年のハイブリッドエンジンへの転向は、ファンに新エンジンが静かすぎるという不満を抱かせてしまった。

それでも、ラリッサ・タン氏はF1には今後も長く世界のモータースポーツにおけるポールポジションに君臨するためのあらゆる条件が揃っていると確信している。

「F1のブランドは特別なものだと感じます」と彼女は述べる。「レースそのもの以外にも、多様な要素がそのブランドを支えています。一方でフォーミュラEは人気がますます高まっており、すでに電気レーシングカーの確固たる地位を築いています。レースはドライバーと、車を支えるエンジニアリングチームの技術の結晶であって、エンジン音はあくまでレースの『副産物』。技術が急速に進歩した今日では、F1のエンジン音を再現することも容易です」

F1が方針転換すれば、デンドロビウムを擁するヴァンダ・エレクトリクスがチームとして参戦するだろうか。

タン氏の答えは以下のとおりだ。「FIA会長はF1の完全な電気自動車への移行はないと語っていましたが、先のことは分かりません。その時が来れば、検討するでしょう」

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