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September 14, 2018 / 5:55 AM / a year ago

シンガポールグランプリは、ドライバーを限界への挑戦に誘う

すべてのF1ドライバーが、F1シーズンにおいて最も過酷なレースとして、迷うことなくシンガポールグランプリを挙げるだろう。

シンガポールのきらめく景観に彩られたレースに、冬のシーズンオフ、そしてシーズン中のトレーニングのすべてを捧げていると言っても過言ではない。

シンガポールを象徴するようなきらめくスカイラインを背景に、都市の光に彩られるこの夜間レースは、熱帯の国特有の猛烈な暑さや湿気に包まれる。最も屈強な20名の選ばれしアスリートたちでも、体力を削られながら限界への挑戦を余儀なくされる。

レッドブル・レーシングのダニエル・リチャルドもこのように語っている。「確かに、ハードなスポーツをするには、最も過酷だと言えますね」2016年のレースに向けての記者会見での談だ。

「こんなレースは他にはありません。新鮮な空気のためにバイザーを開けても、吸い込むのはただ熱…」

F1シンガポールグランプリ。3回目のフリー走行をするレッドブルのマックス・フェルスタッペン(オランダ)。マリーナベイ・ストリート。サーキットで。2017年9月16日。写真:REUTERS/Jeremy Lee

競技に伴う身体能力は、テニスプレーヤーのように目に見えてわかるものではないかもしれない。しかし、グランプリでの限界に挑戦する走行には、強靭な体力、スタミナ、持久力が求められるのだ。

コーナリングの際のスピードや、短い制動距離により、通常身体にかかる重力の5倍、場合によっては6倍もの負荷が襲いかかる。

心拍数は、レースを通じて、毎分160から180/分に上がりっぱなしである。

高速を追求したレースカーが、極めてタイトなコーナーを曲がりきるためには、約180キロもの力でブレーキペダルを踏みこむ必要がある。たとえば、脚を鍛えにジムに行って、180キロの重りを上げること想像してもらいたい。それも、使うのは片脚のみだ。

しかも、レースが終わって下車するとき、レーサーは汗をほとんどかいていないのだ。

ただし、シンガポールではそうはいかない。

F1シンガポールグランプリ。マリーナベイ・ストリート・サーキットでの予選走行の後、笑みを浮かべアシスタントと雨の中を歩くメルセデスのドライバー、ルイス・ハミルトン(英国)。2014年9月20日。写真: REUTERS/Edgar Su

当地の金融街をうねりながら進む市街地コースは、タイトなスローコーナーを多数擁してはいるものの、ドライバーに対する身体的な負荷が極めて大きくなる、高速を伴う急カーブは数えるほどである。

しかし、レース中の暑さや湿度は、他レースとは比べ物にならない。バーレーンやアブダビのような、中東砂漠地帯のレースでもここには及ばない程である。

通常、外気温は30℃台で、湿度は80%、さらには90%にもなり得る。

一般の人であれば、多少大げさに、耐えられないほどの暑さと評するのではないだろうか。

しかし、ドライバーにとっては、まったく大げさな表現ではない。気温が60℃にみなるコックピットの中で、頭からつま先までヘルメットとレーシングスーツに包まれ、不快指数は極限に達する。

さらにこの状況で、レースは制限時間いっぱいの2時間まで続くことが多い。その他のレースよりも圧倒的に長いのである。

昨年のレース前に、ハースF1チームのフランス人ドライバー、ロマン・グロージャンは「高温多湿でいつも長時間」と語った。

「制限時間の2時間になることも多い、非常に過酷なレースです。2013年は、レース中に4キロ水分を失ったはずです。凄い量です。」

身体的な厳しさに加えて、精神的な厳しさも伴う。市街地コースでの走行は、針に糸を通すようなものだ。ドライバーにとっては、一度のスリップでレースが終わりかねない。

過酷な身体的な負荷の中、障壁を避けながら走る。同時にハンドルの各種設定も調整しつつ、さらに無線からあふれる情報を消化しなければならない。ドライバーにとって精神的にも極めて過酷なレースだ。

脱水状態は避けられず、身体的な疲労に精神な疲労も伴う。この条件で、特に神経を使うコースを走るのである。

「完走するのがあまりに肉体的に辛いので、最後の10周、20周には正直セーフティーカーのコースインを願ってしまいます」と、フォース・インディアのメキシコ出身ドライバー、セルジオ・ペレスも2016年に語っている。

「精神的にも過酷です。すべて、いや、すべてと言わなくてもほとんどのコーナーで、ミスをして壁にでも接触しようものなら即パンクといった状況ですからね」

F1シンガポールグランプリ。練習走行中のダニール・クビアト(トロ・ロッソ)。2017年9月15日。写真:REUTERS/Edgar Su

レースに備え、開催までの一週間、ドライバーは大量に水分を摂取する必要がある。車に持ち込むことができるのは、1リットル程度の水のみ。しかもコックピットの熱で、清涼な飲用水というよりは、温かいお茶をすするような感じだ。

イタリアでのレースから、シンガポールグランプリまでに2週間は空くものの、多くのドライバーがアジアに先乗りして、熱と湿度に体を慣らす。あるいは、高温のサウナで激しいトレーニングを行う。

「高温の夜間のレースは正に限界への挑戦です。私にとっては、シーズン中シンガポールが最も過酷なレースです」マックス・フェルスタッペンは昨年そう話した。

「すでに数週間、サウナで高温トレーニングをして、汗かく準備を整えています」

特に暑さの中では代謝も変化するので、栄養の摂取もとても重要だ。

栄養士であり、理学療法士でもあるジョセフ・レーベラはこれを熟知している。彼が特別に調合したミューズリーの朝食に支えられて、80年代にアイルトン・セナやアラン・プロストはマクラーレンで数多くの勝利を飾った。

「しっかりと計画を練ること。適切な食事、飲み物にどのような効果があるかを考えなければなりません」オーストラリア出身の彼は、現在ザウバーについている。

「軽食、野菜、サラダ、適切な果物で完璧な栄養バランスになります。さらに水やお茶にまでハーブを混ぜれば上出来です」

体力を温存して、無駄な行動をせず、そしてもちろん常に体温を落ち着かせた上で重要な栄養分や塩分を摂取すること。ドライバーがレース当日に最高のパフォーマンスを引き出すために非常に重要なことである。

「トレーニングをして、少しウォームアップするのは良いのですが、やりすぎてはいけません」レーベラは語る。

「体力をしっかり温存するのです。これが重要」

「さらに、湿度のために当然大量の水分、栄養分、塩分が奪われます。その補填もとても重要です」

つまるところ、備えがシンガポールグランプリでの勝利のカギを握るのである。

「準備不足で、運よくよい結果は残せません」リチャルドの談だ。彼は過去4年連続で表彰台に上がっている。

「万全で臨むのです。」

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