7月22日、韓国最大の財閥サムスン・グループが進める再編において、サムスン電子が今後どのような形で組み込まれていくか、株主は気にかけておかなければならない。ソウルのサムスン電子本社で1月撮影(2015年 ロイター/Kim Hong-Ji)
Una Galani
[香港 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 韓国最大の財閥、サムスン・グループが進める再編において、サムスン電子<005930.KS>が今後どのような形で組み込まれていくか、株主は気にかけておかなければならない。
再編によってサムスン電子からの配当は大きく増える可能性がある。だがグループの経営を牛耳る李一族が最近、米ヘッジファンドのエリオットによる再編計画反対の動きを退けたことから見ると、独立的な立場の株主は何かあれば真っ先にとばっちりを食らうかもしれない。
サムスン電子は70余りのグループ企業の中で、至宝ともいえる資産だ。今のところ李一族の持ち分は4.7%にすぎない。とはいえ、李健熙(イ・ゴンヒ)会長の入院で、万が一の場合に60億ドル超にも上る相続税対策に万全を期さなければならない李一族は、グループの重要資産への支配強化を図っており、こうした動きが遅かれ早かれサムスン電子に影響を及ぼす可能性が大きい。
期待されるのは、グループ再編でサムスン電子が440億ドルの内部留保から配当に回す金額を増やす展開だ。サムスン電子の株価純資産倍率がより株主にやさしい米アップルの4分の1程度でしかない理由の1つは、その配当性向が相当低いことにある。
サムスン電子は手元資金が曲面ディスプレーなどの新技術開発に必要だと主張する。だが李一族としては、もしもサムスン電子の持ち分を拡大できるとすれば、現時点で増配に踏み切るのは得策ではないと考える面もある。
一方で心配の1つは、過小評価されているサムスン電子が新株発行によってバリュエーションが高い情報技術(IT)サービスのサムスンSDS<018250.KS>を買収する事態だ。李一族は現在、サムスンSDSの株式の19%を直接保有している。
実際に買収が行われると、サムスン電子の既存株は希薄化してしまう。サムスン電子はそんな計画はないと言い張るものの、SDSの時価総額は200億ドルとサムスン電子の10%前後でしかないので、株主投票なしでディールを進めることができる。
そのほかサムスンはライバルのLGグループと同じように持ち株会社制度を正式に採用して、グループの支配力を高めようするシナリオもあり得る。
サムスンは以前、増配を約束して思い通りに物事を進めてきた。そしてグループ内でさらに低価格の合併を実現(危うくエリオットにつぶされかけたが)するために株主の支持を集める上で、サムソンがぶら下げた数多い「にんじん」の1つも、やはり増配だった。
サムスン電子が絡む今後の再編計画でも、同じ手が使われてもおかしくない。その場合、サムスン電子の多くの外国人株主は増配の申し出を拒否した上で、「それとこれとは別の話だ」と言い切る必要がある。
●背景となるニュース
*サムスン物産の株主は17日、サムスン・グループの事実上の持ち株会社である第一毛織との全額株式交換を通じた合併計画を僅差で承認した。
*サムスン・グループの頂点に君臨する李健熙(イ・ゴンヒ)会長は1年以上も入院している。
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