6月4日、ドル/円が1日も経たずに100円台を回復したのは、国内年金のドル買い観測が広がったことが一つの要因だ。写真は2月、都内で撮影(2013年 ロイター/Shohei Miyano)
[東京 4日 ロイター] - ドル/円が1日も経たずに100円台を回復したのは、国内年金のドル買い観測が広がったことが一つの要因だ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方針見直しへの期待もあり、切り返しに勢いを付けた。
ただ週末に5月米雇用統計を控え、神経質な展開が続いているだけに、上値は重いとの見方が多い。
<年金フローが相場サポートか>
ドル/円は、3日のニューヨーク市場で100円を割り込み、一時98.86円と5月9日以来の安値をつけた。5月米ISM製造業景気指数が予想外に弱かったことで、米量的緩和の早期縮小観測が後退。ドルが全面安となる中で、海外短期筋の投げが出た。「ドル/円は戻りが鈍くなってきたので、これはだめだと思い始めていたところに、弱いISM製造業景気指数が引き金を引いた」(大手邦銀)という。
ただ、4日午後の東京市場でドル/円は100円をすぐさま回復。夕方には一時100.42円まで上昇するなど予想以上の戻しを演じた。市場では、この陰に国内年金によるドル買いフローの存在を指摘する声が出ている。
ある大手邦銀関係者は「きのうニューヨークで下をやって、きょうはショートカバーで99.80─100.10円くらいまで戻ることはある程度予想できたが、かなり強い買いが入っているような感じだった」と指摘。「年金フローが入っていたフシがあり、そうであればこのまま堅調に推移する可能性がある」との見方を示した。
国内年金のフローをめぐっては、政府が、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など公的・準公的年金資金の運用方針の見直しに着手することが関係筋の話として明らかになっており、市場では海外投資拡大などの思惑が出やすくなっている。
<米雇用統計控え上値追いも限定的>
市場ではドル高・円安シナリオは依然健在だ。米国は量的緩和の早期縮小観測が後退しているとはいえ、米連邦準備理事会(FRB)内での議論の高まりなどをみれば、「出口」は着実に近づいてきている。一方、日銀はデフレ脱却に向けて金融緩和を深めていく方向にあり、そのスタンスは大きく異なる。
安倍政権についても7月参院選を控え、株安・円高が続くようなら「リップサービスにしろ、何かしらやってくるだろう」(大手邦銀)との期待感が根強い。
もっとも、週末に5月米雇用統計の発表を控え、5月22日につけた年初来高値103.74円を再びトライするような雰囲気はまだ出ていない。足元では「良い米経済指標に対するドル買い反応は鈍くなっており、上振れた場合よりも、下振れた場合のほうが相場の反応は大きくなりそうだ」(国内証券)と警戒する声が出ている。
SMBC日興証券の為替ストラテジスト、野地慎氏は「シカゴの投機筋ポジションをみると、ドル買いは相当積み上がっており、5月米雇用統計によってはまだ巻き戻されるポジションが残っている」と指摘。為替は他のマーケットよりもポジションの偏りが大きいとして「リバウンドも大きく、雇用統計次第でドル/円は97.50円くらいまで下げても不思議ではない」と慎重な見方を示している。
(ロイターニュース 志田義寧 編集:伊賀大記)
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