6月8日、証券取引等監視委員会は、東京電力の公募増資の情報を事前に入手してインサイダー取引を行ったとして、米ファーストニューヨークセキュリティーズに対し課徴金を科すよう、金融庁に勧告したと発表。5月撮影(2012年 ロイター)
[東京 8日 ロイター] 証券取引等監視委員会は8日、東京電力<9501.T>の公募増資の情報を事前に入手し、金融商品取引法で禁じるインサイダー取引を行ったとして、米金融機関のファーストニューヨークセキュリティーズに対し課徴金を科すよう、金融庁に勧告したと発表した。
徴金額は1468万円。増資インサイダー問題で、監視委がインサイダー問題に関連した海外の金融機関に対する課徴金の納付命令を金融庁に勧告するのは今回が初めてとなる。
同日会見した監視委幹部によると、東京電力の増資の主幹事を務めた証券会社の営業員は、職務に関連して東電の増資があると知り、その情報をファーストニューヨークの男性トレーダーに伝達した。トレーダー1人は、東電が増資を公表する前日に、3万5000株の東電株で空売りを行った。
東電は2010年10月に公募増資を実施。監視委は情報を流したとされる主幹事会社名を公表しなかったが、トムソンロイターによると、主幹事は野村証券だった。
ファーストニューヨークは米SEC登録のブローカーディーラーで、自己売買を専業とする証券会社。
今回の事案では違反行為者がもう1人存在する。
ファーストニューヨークはコンサルティング会社に情報入手を依頼し、コンサル会社の女性役員は、東電の増資について主幹事証券の営業員から情報を聞いたうえで、主幹事証券の営業員は、コンサル会社役員を通じ、ファーストニューヨークのトレーダーに情報を伝えていた。このコンサル会社の女性役員自身も、主幹事証券の情報にもとづいて個人として東電株の信用売りを行っており、インサイダー取引に当たると判断された。
監視委は、直接の違反行為者ではないとして、コンサル会社名を公表しなかった。
監視委幹部は、証券会社内で顧客法人の重要な情報を扱う部署と、それ以外の部署を分ける、いわゆる「ウオール」が崩れていたのかとの問いに対し、事案が進行中のためコメントを差し控えるとし、明言を避けた。
監視委が公表した過去4件の増資インサイダー事案のうち、野村証券の営業担当者が顧客の運用会社に情報を流したのは今回で3件目。監視委によると、今回の東電株の増資情報を米社に漏らした営業担当者は、これまでの事案に関わったとされる人物とは異なる人物だったという。
(ロイターニュース 平田紀之、江本恵美、編集 内田慎一)
*内容を追加します。
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