原油価格、エネルギー安がアジア主要国の景気浮揚なら底打ちも

ロイター編集
原油価格、エネルギー安がアジア主要国の景気浮揚なら底打ちも
 1月8日、供給過剰や需要減、ドル高による市場圧迫を背景に、原油価格の下落は当面続きそうだ。しかしアナリストらは、原油価格は底打ちして再び上昇するとの見方を示している。写真は川崎市内の石油化学工場。2014年12月撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter)
[シンガポール 7日 ロイター] - 供給過剰や需要減、ドル高による市場圧迫を背景に、原油価格の下落は当面続きそうだ。しかしアナリストらは、原油価格は底打ちして再び上昇するとの見方を示している。
いわゆる「コモディティーのスーパーサイクル」に沿って、製造業、特にアジアの主要国がエネルギー安の経済に対する恩恵を実感し始めれば、原油に対する需要が盛り返すためだ。
ANZ銀行は7日、「短期的には価格に対するリスクは依然として下落方向に傾いている」と指摘。「(米国の)シェール生産業者が危機感を抱き始めるまであと6カ月以上はかかる」とし、リビアやナイジェリア、ベネズエラなどの財政面で追い込まれた石油輸出国機構(OPEC)加盟国が増産する可能性もあり、価格はさらに圧迫されるとした。
アジアでは、日本は景気後退に直面しているほか、過去数年コモディティーブームをけん引してきた中国も、エネルギー集約型産業から、消費主導の経済成長モデルにシフトしているため、需要は鈍化傾向にある。
シティは今週、中国の今年の原油輸入は鈍化するとの見通しを発表。「中国が原油相場の回復を主導するとの期待は失望に終わる」と予想した。
ドルも原油価格を圧迫している。堅調な米経済を背景に、米連邦準備理事会(FRB)は2006年以来初めとなる利上げに年内に踏み切ることが予想されており、ドルは上昇を続けるとみられる。欧州とアジアの通貨が下落する中、ドル高が原油市場へのさらなる圧迫材料となる可能性が高い。
<消費者への恩恵で需要回復に>
原油相場の短期的な見通しは弱い内容となる一方で、家計や企業にとっての燃料安は、特に製造を中心とした経済では内需を支える要因になりそうだ。
キャピタル・エコノミクスは昨年12月、「原油価格の大崩れは湾岸諸国の来年の対外黒字を打ち消す一方で、中国とユーロ圏は主要黒字国になる」との考えを示した。
シティは、原油安により中国は国内総生産(GDP)の1%以上に当たる輸入コストが節約でき、消費が押し上げられると指摘した。
日本でも燃料安は大規模産業に好影響を与えるだけでなく、巨額債務の削減にもつながる。日本では原子力発電所の停止を背景に燃料輸入コストが増え、債務がさらに拡大した。
アジア第3の経済大国であるインドも、原油輸入価格の下落で恩恵を受けるだろう。調査会社PIRAエネルギーは、「原油安を背景に家計と企業の支出が増加し、中央銀行が金融政策を緩和することから、成長見通しは改善した」とした。

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