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コラム:日本のGDP上方修正は「通貨安競争」の恩恵

コラム:日本のGDP上方修正は「通貨安競争」の恩恵
 6月8日、日本の1─3月期GDPは予想以上に大幅な上方修正となったが、その理由は製造業などの輸出企業が通貨安競争に徹底的に参加したことにほぼ尽きる。写真は2012年11月撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Andy Mukherjee
[シンガポール 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 内閣府が8日発表した2015年1─3月期実質国内総生産(GDP)2次速報値は、1次速報値から予想以上に大幅な上方修正となったが、その理由は製造業などの輸出企業が通貨安競争に徹底的に参加したことにほぼ尽きる。日本経済がこの勢いを保てるかどうかは、企業が利益を社員と共有することにどれほど熱心かにかかっている。
1─3月期GDPは前期比年率換算でプラス3.9%と、5日発表の1次速報値プラス2.4%から大幅に上方修正された。
背景には、企業が円安を機に設備投資を増やしたことがある。民間設備投資は前期比プラス2.7%と、1次速報のプラス0.4%から大きく上方修正された。
日本の輸出業界はシェア拡大に向け、新たな機械設備に投資している。米国での日本製品のドル建て価格は過去6カ月で2%下落。値下げ幅は2014年4─10月の4倍にのぼる。
欧州勢との競争が日本メーカーの背中を後押しした可能性もある。昨年10月以来、円は対ドルで約16%下落したが、ユーロも対ドルで約14%下落している。
売上高のために利益を犠牲にするのが企業にとって持続可能な戦略かどうかは完全に明らかではない。日本の民間投資がより確実に増えるためには、国内消費が1年間続く低迷から脱する必要があるが、これは大きなハードルだ。昨年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたうえ、国民は基本給の大幅引き上げを通じた経済再生の恩恵をまだ受けていない。
1─3月期GDP大幅上方修正を受け、年内に追加緩和があるとの見方はさらに後退した。ただ、安倍晋三首相の脱デフレ政策にもはや深刻な脱線リスクがないことは良いことだ。日銀が目標とするインフレ率2%はまだ視野に入っていないが、債券市場のインフレ期待は安定して推移している。日本のGDPは国内製造業が通貨安競争に加わったことの恩恵を受けているが、次の景気回復段階では労働者も恩恵を受ける必要がある。
<背景となるニュース>
◎2015年1─3月期実質GDP2次速報値は、前期比プラス1.0%(1次速報値プラス0.6%)、年率換算ではプラス3.9%(1次速報値プラス2.4%)。ロイターがまとめたエコノミスト予想の中央値は年率プラス2.7%だった。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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