3月23日、政府は、日銀の中村清次審議委員の後任として、BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミストの河野龍太郎氏を充てる人事案を提示。写真は日銀本店。13日撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 23日 ロイター] 政府は23日、議院運営委員会の両院合同代表者会議に、4月4日で任期を迎える日銀の中村清次審議委員の後任として、BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミストの河野龍太郎氏を充てる人事案を提示した。任期は5年。
亀崎英敏日銀審議委員も同日に任期満了を迎えるが、同氏の後任人事については、事前に候補者名が一部で報道されたため、提示が見送られた。
各党は同人事案を持ち帰って対応を協議し、今後10日間をメドに賛否を決める。国会同意人事は衆参両院それぞれ本会議で同意を得られなければ白紙となる。仮に野党が多数を占める参院で不同意となった場合、政府はあらためて別の人事案を提示する必要がある。
政府は、亀崎氏の後任人事の提示を見送った理由について、調整がつかなかったと説明しているが、参院の鶴保庸介議院運営委員長は、事前に候補者名が報じられたため、政府が今回の提示を断念したとの見解を示した。過去にも、日銀審議委員らの国会同意人事をめぐり、当時野党だった民主党が事前に候補者名が報じられた人事案は認めないとし、差し替えになったケースがある。23日の一部報道は、日銀審議委員に政府が伊藤忠商事<8001.T>の渡辺康平相談役を起用する方向で調整に入ったと伝えていた。亀崎氏の後任人事は、早ければ来週中にも提示される見通しだ。
<河野氏就任なら水野氏以来の市場関係者、金融緩和のデメリットも議論に>
河野氏が就任すれば、市場関係者の出身としては、2004年12月から2009年12月まで審議委員を務めた水野温氏氏(現クレディ・スイス証券副会長)以来。マクロ経済に加え、変化の激しい金融市場の分析により、日銀政策委員会の議論活性化や、市場との対話の充実などが期待される。
河野氏は、日銀が2月14日に事実上のインフレ目標導入と10兆円国債買い入れ増による資産買入基金の規模を拡大したことを受け、金融政策運営について「『物価安定』が政策目標に与えられている以上、デフレ傾向が続く中で円高圧力を相殺することは、日銀の責務」とする一方、これまでの積極的な金融緩和の継続によって「副作用がかなり大きくなっている」とも指摘。具体的には「ゼロ金利政策や国債購入政策の長期化・固定化が、銀行行動を通じ、財政赤字のスムーズなファイナンスを可能にすることで、間接的だが、金融政策もトレンド成長率の回復を阻害している可能性がある」としている。
その上でトレンド成長率よりも高い成長を継続的に達成するには、「構造政策を進めることで、トレンド成長率そのものを高める以外に方法がない」とも断じ、構造改革による成長力強化の重要性を強調している。
市場からは、河野氏が提示されたことについて「金融政策のメリットとデメリットを理解しており、日銀寄りの人事だ。永田町主導の政策運営が、これで中立的な位置に戻るのではないか」(外銀)との評価が出ている。また、与野党の一部から日銀による国債引き受けなどを求める声がある中で、金利・債券市場に詳しい同氏の審議委員としての発言に注目したい、との指摘もある。
日銀の最高意思決定機関である政策委員会は、総裁1人、副総裁2人、審議委員6人の計9人で構成。月に1─2回、定例開催している金融政策決定会合では、政策金利である無担保コールレート翌日物の誘導目標など通貨および金融の調節に関する方針などを決定している。 次回の金融政策決定会合は、4月9、10日に開催される。
(ロイターニュース 伊藤純夫 山口貴也 編集 宮崎大)
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