9月18日、ECBがユーロ圏の債務危機解決に向け問題を抱えた加盟国の国債買い入れに踏み切る方針を表明して以来、通貨ユーロに対する投資家のセンチメントが一転して上向いている。写真はブリュッセルで昨年11月撮影(2012年 ロイター/Francois Lenoir)
[ロンドン 18日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の債務危機解決に向け問題を抱えた加盟国の国債買い入れに踏み切る方針を表明して以来、通貨ユーロに対する投資家のセンチメントが一転して上向いている。
米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第3弾(QE3)を発表したことも、対ドルでのユーロ買い要因となっている。
アナリストは、ユーロ圏のソブリン債デフォルト(債務不履行)やユーロ圏崩壊の可能性に対する懸念からユーロに悲観的な見方をしていたアジアの中央銀行などの投資家がユーロ買い戻しに動いているため、年末にかけてさらにユーロの回復が進むと予想している。
ユーロはドラギECB総裁がユーロを守るため「あらゆる措置を講じる」考えを表明する前の7月終盤に1ユーロ=1.2040ドル前後で2年ぶり安値を付けて以降、約9%上昇した。
ユーロの地合い変化はオプション市場にも明確に現れており、ユーロ安をヘッジする需要は薄れつつある。相対的なプットあるいはコールオプションの需要を示す短期リスクリバーサルは、ほんのわずかのユーロ安に備える動きしか示していない。
ユーロ/ドルの1カ月物リスクリバーサルのプットはわずか0.2volsと、ギリシャのユーロ離脱観測が高まった5月の2.4volsから大幅に縮小し、2年ぶり低水準となった。
為替相場が変動する可能性を示すインプライドボラティリティは、ユーロに対する楽観的な見方を反映し、1カ月物が6月の13%強から8.7%前後に低下した。
ユーロ/ドル相場は18日時点で1.3060ドル前後にあるが、一部のアナリストは、年末までに1.35ドルに上昇すると予想。ロイターが9月初めに調査した3―6カ月後のエコノミスト予想である1.22ドルとは全く異なる見方が示されている。
モルガン・スタンレーは、2012年末時点のユーロ/ドル相場見通しを1.19ドルから1.34ドルに上方修正。HSBCも、年末までに1.35ドルに上昇すると予想している。
<スペインがリスク要因>
ECBやFRBによる積極的な緩和策を受け、ドルなど金利の低い通貨で借り入れ、アジア通貨など相対的にリスクの高い資産で運用するキャリートレードが拡大する可能性がある。
一方、新興国の中央銀行は自国通貨高が輸出に及ぼす悪影響を防ぐため米ドルを買い入れる可能性がある。アジア中銀を中心とするそれらの中銀は、外貨準備を分散するため、買い入れたドルをユーロに転換すると見込まれる。
ヘッジファンドなど短期的な投資家もユーロに対する否定的な見方を変えており、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、9月11日までの週にはユーロのショートポジションが3月末以来の低水準に縮小した。
もっとも、ユーロに対する警戒感も消えておらず、特にスペインが欧州への支援要請に消極的な姿勢をとっていることがリスク要因だとみる向きが多い。
UBSの為替戦略責任者、Mansoor Mohi-uddin氏は「スペイン政府が(支援要請に)時間がかかればかかるほど、現在のユーロ高トレンドが失速する可能性が高まる」との見方を示した。
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