焦点:第3四半期の中国GDP、政府の目標下回る見通し

ロイター編集
焦点:第3四半期の中国GDP、政府の目標下回る見通し
10月15日、今月18日に発表される第3・四半期の中国GDP伸び率は前年比7.4%に鈍化し、中国政府の通年の目標7.5%を下回るとみられている。写真は安徽省合肥の建設現場。3月撮影(2012年 ロイター/Jianan Yu)
[北京 15日 ロイター] 18日発表される第3・四半期の中国国内総生産(GDP)伸び率は前年比7.4%に鈍化し、中国政府の通年の目標7.5%を下回るとみられている。
粗鋼生産の減少や、さえない電力消費に加え、輸出の鈍化、相次ぐ企業利益の下方修正など、リスク要因を踏まえると、GDPはさらに低い伸びにとどまる恐れもある。
中国の金融当局の投資アドバイザーを長らく努めているMESアドバイザーズのポール・マルコスキー氏は、ロイターに対し「実際にはGDP伸び率はおそらくすでに6%程度だろう」と指摘。「中国はいつ起きてもおかしくない貿易や消費、レバレッジの問題を抱えている」と語った。
週末発表された貿易統計では、1─9月の中国の貿易は前年比6.2%増と、中国最大の輸出市場である欧州の債務危機が続くなか、当局の2012年の目標である10%増を大幅に下回った。
<在庫調整の悪循環>
9月の輸出は予想を上回る伸びとなったものの、中国当局者は、貿易見通しは依然として厳しいとの見解を示している。中国人民銀行(中央銀行)の陳雨露金融政策委員(中国人民大学学長)は前月27日、中国は世界経済の減速についてかなり甘く見積もっていたと指摘した。
購買担当者景気指数(PMI)のデータでは在庫水準が減少し、輸出をめぐる不透明感が、企業による在庫調整の悪循環をもたらしていることが示されている。
これが結果として鉱工業生産を圧迫し、生産者物価指数(PPI)を押し下げ、利益率を圧縮、利益を減少させているほか、銀行の貸し渋りや投資家心理の悪化につながっている。
一部のアナリストは、1─8月に前年同期でわずか2.3%の伸びにとどまった粗鋼生産と過去5年間の平均のほぼ半分の伸びとなっている電力消費が、景気低迷の兆候を示していると指摘している。
<供給サイドの潜在性>
HSBCのチーフエコノミスト、スティーブン・キング氏は、中国経済に関する懐疑論者は、同国経済がハードランディングして成長の力学が破壊されると結論付けるには大規模なインフラ支出よりも強力な証拠が必要と指摘する。
同氏は、海外投資家への市場開放や、さまざまな産業への参入障壁を低下させた世界的な技術革命、低水準の1人当たり所得などがすべて成長促進に寄与してきたとし、供給サイドの潜在性は引き続き大きいとの見解を示した。
ただこれは、9%超の成長率を想定して投資してきた企業やファンドにとって、数カ月以内に成長率が7%に向けて低下するのであれば、ほとんど安心材料にはならない。
ロイターが1カ月前に実施した調査によると、第3・四半期の中国GDP伸び率に関する最も悲観的な予想は7.1%。コンセンサス予想では7四半期連続の景気減速が見込まれ、通年の成長率は1999年以来の低水準になる見通し。
<構造の変化>
調査会社GKドラゴノミクスの中国経済担当責任者、アンドリュー・バトソン氏は、特定の数字にとらわれると、起こりつつある経済構造の変化に潜む重要性を読み違えることになると指摘する。
同氏は「中国では(成長率が)8%を下回ると想像を絶するほどの社会的な影響があるとする情報源について実際には誰も知らない。この理論が正しいという証拠があるのかさえも分からない。成長率は現在8%を下回っているが、中国の社会は崩壊しておらず、この理論が正しくないと確信している」と語った。
多くのエコノミストによると、この10年の終わりに中国の経済成長率は、かつての最高指導者、故・鄧小平氏が1978年に市場改革を始めて以降に達成した約10%よりも、5%に近い水準になる見通し。伸び率は6─7%になる可能性が高く、この程度がより持続可能な水準という。
中国政府の2015年までの5カ年計画におけるGDP伸び率目標は7%。
政府はより緩やかな成長によって、インフレや社会的リスクを促すことなく経済をより安定的な国内消費へと再調整することが容易になるとしている。
GDPに占める比重の大きい投資を減らすことが、経済の再調整の鍵となるが、バトソン氏は、このシフトによって需要全体の伸びがより不安定になり、成長目標が達成できないことが多くなるリスクが高まるとしている。
同氏は「仮に企業が10%のGDP伸び率を見込んでいるのに成長率が7%になった場合、企業は投資を縮小させるか、方法を変更することが必要になる可能性がある。これはシステムにとって衝撃であり、人々は将来について再検討することが必要となる」と語った。
(Nick Edwards記者;翻訳 佐藤久仁子;編集 佐々木美和)

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