6月3日、FRBの債券買い入れプログラム終了の時期や方法にはバーナンキ議長の考えが最も大きく影響するが、FRB当局者からもさまざまな見解が示されている。写真は昨年4月、ワシントンで撮影(2013年 ロイター/Joshua Roberts)
[3日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の債券買い入れプログラム終了の時期や方法にはバーナンキ議長の考えが最も大きく影響するが、FRB当局者からもさまざまな見解が示されている。
6月18─19日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)までは、議長や当局者による量的緩和に関する発言が注目される。
以下は各自の見解。◎は今年のFOMCで投票権をもつ当局者。
<債券買い入れの縮小>
◎バーナンキ議長:5月22日の上下両院合同経済委員会での証言で、景気の勢いが維持されていることが分かれば「今後数回の会合で(next few meetings)」債券購入ペースの減速を決定することもあり得ると発言。
◎エバンズ・シカゴ地区連銀総裁:5月20日の講演で「次回かその後、あるいは秋のFOMCでの他の当局者の意見に耳を傾ける」と発言。FRBは現在のペースで資産買い入れを継続できるが、秋までに労働市場の回復が定着したと確信できれば、突如停止することもあり得るとの考えを示した。また、債券買い入れ終了を支持するには、月間の雇用者数が数カ月間少なくとも20万人増加すること、トレンドを上回るGDPの伸び、失業率の低下が必要と指摘した。
ウィリアムズ・サンフランシスコ地区連銀総裁:5月16日の講演で、雇用市場が自身の予想通りに改善を続ければ、夏までに債券買い入れを縮小し、その後年内に終了することが可能と発言。年末時点の失業率は7.5%弱、今年の成長率は2.5%で来年は3.25%、インフレ率は今後数年2%を下回ると予想した。一方6月3日の講演では「低インフレが続き、長期インフレ期待が2%を大きく下回るようなより危惧すべき状況になれば、他の条件が変わらないことを前提に、買い入れ拡大を求める要素となる」とした。インフレを抑制している要因の多くは一時的なものとの見方を示した。
◎ローゼングレン・ボストン地区連銀総裁:5月29日に「労働市場と経済全般の成長率が徐々に回復する状態があと数カ月続いた場合、資産買い入れペースの若干の緩和を検討することが理にかなう」と発言。以前の発言では、米失業率は年末までに7.25%に低下すると予想しているが、債券買い入れの縮小や終了を検討するにはこの水準までの低下が必要と指摘している。成長率は2013年下半期に約3%に改善すると予想している。
◎ダドリー・ニューヨーク連銀総裁:5月21日に、財政緊縮の不透明な影響を考慮し、量的緩和を縮小するかどうかの判断は数カ月待つ必要があると指摘。「あと3、4カ月もすれば、財政引き締めの影響を克服できるほど経済が健全な状態なのかどうかという点について、よりはっきりしてくるだろう」と発言。また、FRBが買い入れを縮小したとしても、その後も同様のかたちで縮小を続けるということではなく、必要となれば買い入れを増やす可能性を指摘した。
◎ブラード・セントルイス地区連銀総裁:5月24日に、労働市場の改善見通しを受けて債券買い入れの縮小を支持するが、それまでにインフレ率が2%に向けて上昇することが必要と発言。インフレ率を懸念しており、次回FOMCまでの数週間でどう推移するかはわからないとした。
◎イエレン副議長:4月4日の講演で、雇用情勢の改善とともに債券買い入れを縮小させることに前向きであることを示唆。「労働市場の見通し改善に合わせて資産買い入れペースを調整することは、FRBの意思に関する情報を一般に提供し、プログラムの終了が近づくにつれて誤解や市場の混乱といったリスクを軽減することができる」と発言した。また「たとえインフレ率が一時的にやや2%を上回る結果になるとしても、失業率の改善がFOMCにとって中心議題となるべきだ」と述べた。
ロックハート・アトランタ地区連銀総裁:6月3日に、FRBはまもなく債券買い入れペースの縮小を真剣に検討することが可能になると指摘。「経済の勢いは強くないものの、信頼感に基づき前進しており、6月のFOMCでなくとも(金融緩和縮小を)真剣に検討し得る時期が近づいている」と語った。
<借入コストをさらに押し下げ量的緩和を継続する必要性>
コチャラコタ・ミネアポリス地区連銀総裁:FRBは超低金利を維持する失業率の目安を、現在の6.5%ではなく5.5%とすべきと発言。どのデータによって労働市場見通しが大幅に改善したと判断するかは明言しておらず、債券買い入れ縮小についての考えも明らかにしていない。
<すぐに量的緩和を縮小あるいは終了>
フィッシャー・ダラス地区連銀総裁:5月16日の講演で「住宅分野に関して勝利を宣言し、住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れ縮小をすぐに開始し、年末までに完全に停止すべき」と発言。国債買い入れも縮小すべきとの考えを示した。
◎ジョージ・カンザスシティー地区連銀総裁:4月4日に「現在の政策は過度に緩和的で、リスク縮小のためFRBは債券買い入れを縮小すべき」と発言。今年の成長率は2%との見通しを示したほか、過度の金融緩和がインフレにつながる可能性を指摘した。
ラッカー・リッチモンド地区連銀総裁:5月3日に、住宅市場の回復を踏まえ、FRBはMBSの買い入れを停止し国債買い入れも縮小すべきと発言。昨年9月の量的緩和の開始以来、労働市場の見通しが大幅に改善したことに疑いの余地はなく、市場はFRBが資産買い入れのペースを縮小する可能性を考慮する必要がある」と述べた。
ピアナルト・クリーブランド地区連銀総裁:3月27日に、金融市場の混乱や過度のリスクテークの可能性を減らすため、FRBは債券買い入れを縮小することが可能と発言。バランスシートの拡大は、インフレ圧力への対応を限定する可能性があるとの見方を示した。また「資産買い入れプログラムの経験が限られていることを考えると、買い入れペースの縮小は、拡大したバランスシートに伴うリスクの最小化に寄与する」と述べた。
プロッサー・フィラデルフィア地区連銀総裁:5月16日に、米経済の見通し改善に伴い、FRBは6月に債券買い入れの縮小を開始すべきと発言。
◎スタイン理事:債券買い入れ縮小に関する見解を直接明らかにしてはいないが、2月7日の講演で現在の超低金利の期間が長引けば、信用バブルを促す可能性があると警告した。
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